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 大阪の堺では、かつて沢山のアナゴが水揚げされていたとされている。
 淀川と大和川の河口に位置する堺近海の海は、豊かな森林が豊かな海を育み、アナゴの餌となる小魚やエビ・カニ等が好む多くのプランクトンが発生していて、よく肥えたアナゴが沢山捕れ、陸地の出島町にはアナゴの店が通りの両側にずらりと並んでいたと云われる。
 その出島一丁辺りは出島穴子筋と云われ、漁師から買ったアナゴを生かしたままで保存し、必要な量だけを捌いて串焼きにして天満、木津、靭の市場や得意先の料理屋に届けていたと云われる。
 しかしながら、戦時の空爆による戦火に会い穴子筋は壊滅状態になり、その後、臨海工業地帯の建設により、堺のアナゴは消滅したと云われている。
 しかし、堺市の料理界では、かつてのアナゴ料理の伝統を受け継ぎ、産地にはこだわらず、国内外から良質のアナゴを手に入れ、美味しいアナゴ料理を提供しているとのことである。
 以前のことであるが、そのアナゴ料理を食べてみようと、南海電鉄高野線の堺東駅で下車し、観光案内所で聞いて、堺市役所の21階の展望ロビーのカフェへ行ったことがある。
 しかしその時は、アナゴ丼は売り切れで、仕方ないので古墳を形どったGORYOカレーで我慢したのであった。
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 今回はそのリベンジである。
 南海堺東駅で途中下車した。
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 駅ビル前のロータリーの交差点の対面が堺市役所の展望ロビーがある高層館である。
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 エレベーターで21階まで上昇する。

 降りると四方に開けた展望ロビーである。
 
 先ずは景色を眺めてみる。
 南方向には世界遺産に来月にも登録されようとしている百舌鳥古墳群の最大古墳「仁徳天皇陵」が見える。
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 しかし、21階とは云え周濠などは見えない。

 平地で眺めるのとは、墳丘全体を同時に見ることができるという利点くらいである。
 背後の壁面に写真が掲げれらている。
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 もっと高いタワーからならこの様に見える筈である。

 隣には百舌鳥古墳群を示す写真が掲げられている。
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 ①仁徳天皇陵、②履中天皇陵、④いたすけ古墳、⑤御廟山古墳、⑥ニサンザイ古墳である。
 次に東方向である。この方向には遠く生駒連山が見える筈であるが、大気中の湿度の影響で霞んでいるのは残念である。
 写真の左半分に見える古墳は反正(はんぜい)天皇陵である。
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 反正天皇陵にスポットを当ててみると下図のようになる。

 天皇陵の向こうの2本の高いビルがある辺りはJR阪和線の堺市駅辺りである。
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 次は北側である。

 やはり見えにくいが、JR天王寺駅の手前にあるあべのハルカス(300m)が何とか見える。
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 そして西側である。 

 古代の官道「竹ノ内街道」の現在の大小路(おおしょうじ)が、阪堺電車大小路駅を通過し、背の高いホテルの所まで延びている。 
 このホテルの辺りが、南海本線堺駅である。
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 さて、アナゴ料理である。
 期待を持って展望ロビーのカフェ「ミ・エール」に行き、そのメニューを見てみた。
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 メニューがあっちこちに掲示されている。

 しかしながらアナゴ丼はメニューにはない。
 その代わりと云っては何だが、アナゴ茶漬けがあった。
 これを注文した。
 昼前であったので、「今ご飯を炊いているところです。蒸らすまでにあと10分ぐらい掛かります」と云われ、暫く待つことになったのであった。
 しばらくして、アナゴ茶漬けが届けられた。
 海苔茶漬けの様相であるが、刻んだアナゴが少量ではあるが乗せられている。
 これだけではアナゴの美味しさは判別できないが、雰囲気だけを楽しみながら、お茶漬けを頂いたのであった。
 今度は、アナゴ料理の専門店を訪れ、再リベンジをしてみようと、ミニ旅を終了したのであった。