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 山陽新幹線の新岩国駅で途中下車した。
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有名な錦帯橋を観光するのが第一の目的である。

 新岩国駅からは、錦帯橋経由で岩国の市街地に向けてバスが出ている。
バスは新幹線の到着時刻に合わせて発車しているようで、バス停まで来ると、すぐにバスが来て発車となった。
 新岩国から錦帯橋までは15分ぐらいで到着するが、その間は全くの郊外である。
人も見かけることがなく、幾つかの集落を通り過ぎて行くだけである。
 錦帯橋に着くと、さすがに観光地である。
朝まだ早いのにも関わらず、観光客も外国人を含め、それなりに見かける。
 先ずは錦帯橋を錦川の左岸(東岸)から眺めてみる。
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写真で見るように、中央に太鼓橋が3連、両脇はおとなしい橋が架かった5連の橋である。

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 この錦帯橋の前身は、錦川の西にある高さ200m強の横山の山頂に横山城(岩国城)が築城され、麓には藩庁が設置され、川幅200mの錦川の向こうの城下町とを繋げる橋であった。
 城の築城は、関ケ原で敗れた毛利の一族の吉川広家の月山富田城からこの岩国への移封に伴うものであった。
しかしながら、橋は洪水でしばしば流され、架橋技術の向上が望まれていた。
 3代目藩主吉川広嘉の時に、中国杭州の西湖の堤に架かる連なった橋からヒントを得て、建設したのが現在の形に近い太鼓橋状の錦帯橋であった。
以来、昭和の時代まで健在であったと云われている。
 橋の向こうの山頂に天守閣が見える。
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城への登城ロープウエイがあると云うので、橋を渡り城へと向かったのであった。

 ロープウエイの駅に向かう右手(北側)は、お土居と云われる藩主吉川氏の居館と藩庁である。
そして左手は、上級の家臣が住まいするエリアであり、現在は吉香(きっこう)公園として整備されている。
 お土居のエリアを行くと、吉川資料館、岩国徴古館、吉川邸厩門、そして吉香神社を過ぎて、ロープウエイの駅に到着した。
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 ロープウエイが昇るに連れて、下界の眺めが良くなってくる。
錦川と錦帯橋、お土居、吉香公園、そして川の向こうに城下町を一望できる。
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 城跡は、二ノ丸、本丸、北ノ丸、空堀、旧天守の石垣などで構成されている。
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そして下界から眺めた模擬天守が本来の天守台の跡ではなく、麓からよく見える場所に建てられている。
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築城は55年前とのことであるが、綺麗な天守である。

 天守の最上階である4階から眺める岩国の風景は格別である。
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 岩国城は、江戸初期の慶長13年に竣工したが、その7年後に一国一城令にて廃城とされ、破却された。
 その結果、岩国藩は城はなくなったが、麓の陣屋にて藩政を執り行い、明治まで存続している。
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 下山もロープウエイである。
 今度は、来た道とは違う吉香公園の中を戻ってみる。
 公園には、重要文化財の旧目加田家住宅、岩国藩家老香川家の長屋門(県の文化財)などがある。
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それらを駆け足で眺め、錦帯橋まで戻ったのであった。

岩国でもう少し見たい場所がある。
錦帯橋近くの椎尾八幡宮、そして少し先の白崎八幡宮、白蛇神社である。
これらも駆け足で巡礼し、新幹線駅へ戻って来たのであった。

 新岩国に停車する新幹線は一時間に一本しかない。
それも10分後に迫っている。
 コンビニ売店で何か名物弁当でもと、店に入ったのであった。
そこで見つけたのが、唯一の名物「岩国寿司」である。
 今回はこれで我慢と、岩国寿司を携え新幹線に乗車したのであった。
 暫くは座席でボーとした。
落ち着いたので、岩国寿司を改めて眺めてみる。
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 製造者の住所を見てみると、岩国市岩国1丁目で錦帯橋の袂である。
錦帯橋の香りがするのであろうと、期待が膨らむ。
 表面は錦糸卵、細切り椎茸、蓮根、でんぶで覆われ、上に海老が乗せられている。
そしてよく見ると具は酢飯の下にも挟まれていて、酢飯と合わせて4層になっている。
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 見た目はちらし寿司であるが、押し寿司とのことで、型枠に入れ、加圧されているので、パラパラはしない。
 すなわち、箸で摘まんでもばらけたりせず、食べ易いものである。

味は、酢飯の味がきつくはなく、具からにじみ出た出汁味が支配的で、美味しく頂けるものである。
押し寿司にすることで、味のバランスが良くなった結果であろうと思われる。

値段の割に量が少ないか、と思ったがこの味ならばリーズナブルである。

 後にネットで調べてみると、この岩国寿司の由来は、岩国藩初代藩主の吉川広家が合戦に備えて作らせた保存食が町民にも広がったと云うのが真説であろうか。
岩国城は山城で水の確保が難しく、調理も難しいとのことから、合戦に備え栄養価の高い保存食である岩国寿司を考案したものと考えられる。