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 宮城県南部白石市のJR東北本線「白石駅」で途中下車した。
白石市は仙台へ出かけるときに名取市とともにその手前にある市で、気になっていた市であるので、思い切って下車してみた。
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 白石市には伊達仙台藩の支城であった白石城がある。
これを探索してみるのがその目的である。
 白石城は駅の西方、5~600mぐらいのところの城山にある城である。
公共交通機関もあるようであるが、歩いてもそんな距離ではない。
 しばらく歩くと、大型ショッピングの先に登城口がある。
丘のようなところにある城なので、少しの登りとなる。
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登城道の途中にある探訪ミュージアムのそばを過ぎると再建された大手門がある。

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 大手門を潜ると本丸の広場である。
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本丸の隅には、これも再建された三階櫓がその威容を誇っている。

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 白石城は、当初は鎌倉時代にこの地を治めた刈田氏が築城したのが最初である。
その後会津藩の蒲生氏郷や上杉景勝により支城として修築された。
 しかし関ケ原の時、伊達政宗により攻め取られ、以降、仙台藩の支城で南の護りとして、伊達氏の家臣の片倉小十郎景綱が城主となり、一国一城令も逃れ、明治まで続いた。
 そして明治になって城は売却され、その資金を一部として、片倉氏は北海道の移住を果たしたと云われている。
 城の本丸の西に当たる二ノ丸には神明社という神社が鎮座する。
天照皇大神を主祭神とする神社で、城主片倉氏が城の鎮護と領民の幸せのために、崇敬が厚かったといわれる。
 現在の一ノ鳥居は城の厩門跡に建っていて、石畳の参道が昇っている。
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参道を行くと二ノ鳥居、そして神門を潜ると拝殿本殿となる。

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 主祭神は、天照皇大神であるが、配祀として天御中主神、高御産巣日神、神産巣日神が祀られている。
 神社境内付近からは、白石城の天守である三階櫓を望むことができる。
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 城域を後に城下に下ると「神石しろいし」というのが祀られている。
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説明によると、この石の根っこは深く、白石市から仙台市泉区の根の白石まで続いていると伝えられている。
 遠い二つの場所にある石が繋がっているので、良縁祈願に御利益があると云われているものである。
 また城の北側の沢端川の畔には、武家屋敷が残っている。
小関家の武家屋敷であり、茅葺の質素なものである。
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 駅の方向へ戻ることにする。
途中、当信寺の寺門が城の東口門とのことで、移築保存されている。
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 街中では、「白石温麺(うーめん)」という幟を見かける。
製造工場もある。
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 400年の伝統だそうである。
 うーめんという名物があるのなら、これは食べてみないといけない。
店を探してみた。
 駅が近くなったところで「TJ庵」と云う店を発見した。
蕎麦の専門店の様である。
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 昼には少し早い時間であるが、暖簾が掛けられていて営業中の様である。
 あまり時間もないので、入ってみた。
 麺のメニューは多彩である。
「うどん」でも「そば」でも「うーめん」でもOKとのことである。
迷った挙句、価格安の部類の「とじうーめん」を注文したのであった。
 5分ぐらいして、うーめんが出てきた。
とじであるので、玉子とじである。
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見た感じでは、そうめんより少し太めの麺で、いわゆる「にゅうめん」に似たりである。

 先ずは出汁、醤油の澄んだ出汁であるが、濃そうである。
しっかりとした醤油出汁で、好きな味である。
 次に麺、麺は短い。
10cm弱であろうか。
箸で摘まむと、一口で口の中へ入ってしまう。
「ズルズル」と啜り音を立てなくて食べられるので、上品で良い。

うーめんは、油を使わずに伸延じているので、体にも良いとのことである。
昔、この地の大畑屋鈴木浅右衛門という人が、胃腸の弱い父親のために旅の僧に教わった油を使わない麺の製法を苦心の末に会得して、創始したと云われている。

量は結構多かった。
黙々と食べて、やっとのことで完食した次第であった。

この温麺、江戸時代の初頭の開発とのことである。
白石の食文化に接した途中下車であった。