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 埼玉県西部の山間部の秩父盆地の中心地、秩父市に「知々夫国一ノ宮 秩父神社」が鎮座している。
今回、この秩父神社を訪ねてみようと、池袋駅から電車に乗り、郊外の街の景観やら、山間の風景を楽しみながら、それなりの時間を要して秩父駅に到着した。
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 秩父の駅前は広い。
駅前広場に沿って観光案内所があったので、コインロッカーの場所を聞き、観光地図も手に入れた。
さあ、出発である。
 駅の隣に白い工事パネルで囲まれた広いところがある。
もとあった仲見世通り商店街が、複合型温泉施設としてのリニューアルの工事中とのことである。
駅に温泉ができたら、電車の待ち時間が有効に過ごせるな、と思いながら歩き始めた。
 立派な市役所を前にして左折、秩父鉄道の踏切を渡り、秩父神社の参道へと達する。
石畳で舗装された道である。この参道の通り名は番場通りである。
所々に由緒がありそうな建物が見受けられる。
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 写真は明治開業の岩田産婦人科医院である。
 参道の隣の道は黒門通りという、古い商店が並んでいる通りであり、よく見ると登録有形文化財の表示がなされている。
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秩父には他にも沢山の登録有形文化財の建物がある。
これだけ沢山あれば重伝建の指定を受けてもよさそうな筈なのに、と思いながら進む。

 元の参道に戻り、神社の大鳥居を潜る。
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境内には、神楽殿や社務所兼喫茶、展示館の平成殿がある。
正面の神門を潜ると神域である。
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参拝者が急に目立つようになる。
多くの人の崇敬を集めている神社である。

 摂社群が左右に並ぶ。
そして正面は拝殿本殿である。
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拝殿正面には、左甚五郎作の彫刻「子育ての虎」が掲げられている。

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 本殿の3方にも彫刻がなされている。
西には「お元気三猿」が掲げられている。
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この猿達は、日光東照宮の「見ざる 言わざる 聞かざる」の反対で、「よく見て よく聞いて よく話して」のお元気な猿を表しているとのことである。

 更に北側に「北辰の梟」、東にこれも甚五郎作の「つなぎの龍」が掲げられている。

一ノ宮である秩父神社の創建は、紀元前の崇神天皇の時代に、知々夫国の初代国造に任命された八意思兼命(やごころおもいかねのみこと)の子孫である知々夫彦命が、祖神を祀ったことに始まる。
そして、武蔵国成立以前より栄えた知々夫国の総鎮守として現在に至っている。

主祭神は、上記の2神の他に、鎌倉時代に合祀された天之御中主命(あめのみなかぬしのみこと)、そして昭和天皇の弟君の秩父宮雍仁(やすひと)親王の4柱である。

 神社への参拝を済ませ、御朱印を頂き、神社を後にしたのであった。
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 観光のもう一つの楽しみは食事である。
神社の鳥居前に物販と観光案内を兼ねたような店舗があったので聞いてみた。
「わらじかつ丼というのが名物と聞いたんですが、近くに店はありますか?」
「神社の西に『大MR』さんというのがありますけど、まだ開店まで時間があると思います。混むかも知れませんけどね…」
 と云われれば早速行って確かめるしかない。
神社前の道を西へと云ってみた。
本町という交差点の信号を渡って北に少し行くと目的の店である。

やはり準備中である。開店時間まであと30分ぐらいである。
仕方ないので付近の見学とした。

 交差点の南側に、かつての町家がある。
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銘仙問屋だったらしいが、現在は秩父ふるさと館というショッピングと食事の店となっている。

 広い通りを東へ横切り駐車場を勝手に通り抜けたところにカラフルな糸を2階の窓に吊るした店がある。
かいこ屋と云う。
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御主人がいらっしゃって、話してゆけと云うので、店先に腰を下ろして、コーヒーを振る舞って頂いた。

 秩父はかつては大織物地域であり、この店はそれを伝える店だそうである。
明治から大正に掛けて織物を全国に出荷したという。
その商人を買継商(かいつぎしょう)と云い、この辺りは買継商通りと云う。
 そろそろ食事処の開店時刻となった。
店の前に急いだのであった。

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しかし、行列は無し。
すぐに案内されて、店に入ったのであった。

 隅のテーブルに着席、さて注文であるが、迷うことなく「わらじ丼」をお願いした。
この店は蕎麦屋である。秩父の蕎麦でなく残念な気もするが、ここはわらじ丼である。
 待つこと10分ぐらいか、わらじ丼が出てきた。香の物付きである。
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思ったほどカツは大きくはない。丼の直径サイズのものが2つである。
言うなれば、鉢一杯のカツ丼である。

 さて頂いてみよう。
カツは柔らかい。
甘めのソースが染み込んで、いける味である。
 ご飯はというと、ソースが絡んで、それなりに美味い。
ソースに工夫があるようである。
 福井県にもソースかつ丼があるが、それと比較すると、アッサリさわやかと云う印象であった。