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 京都に祇園祭の季節がやってきた。
祇園祭は別名「鱧祭(はもまつり)」とも呼ばれる。
 元々海が無く、魚は他国からの供給に頼るしかない京都山城の国では、夏場には生命力が強い鱧が瀬戸内海や紀州から生きたまま運ばれ、夏の絶品料理として食されて来た。
 その生きたままの鱧を湯通しする「鱧の落とし」は、生きている鱧の調理でなければならない。
その真っ白な花が咲いたような様子から別名牡丹鱧とも呼ばれる。
そして梅肉を乗せ、鱧を頂くのである。
 祇園祭を前にして京都中央市場には、その鱧の入荷量が増加して来ると云う。
祭りの1ヵ月前には入荷量は通常の月の5倍程度、そして直前には約10倍の入荷量になると云う。
 鱧は普通の魚のようにさばくだけでは食べることができない。
小骨が充満しているからである。
京都では約1mm間隔にこの小骨を切る「骨切り」技術をいち早く開発し、鱧の食文化を育てたのであった。
 鱧を食べさせてくれる店は料亭や小料理屋など沢山の店がある。
しかし、軽く昼食にという所は知らない。
 祇園祭の山鉾を見学に行ったついでにそのような店を四条通り周辺で探してみた。
そば屋、うどん屋など、大衆的な食事処に絞って探してみたが中々見つからない。
諦めかけた時、やっとのことで一軒の店を見つけた。
 にしんそばで有名な四条大橋の南座の西に隣接する「M葉」と云う店である。
ひょっとしてと行って見たら、ひょっとした。
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M葉は江戸末期に創業した店で、世間相場より少々高めの店である。
しかしこれを逃したら、他にはないので、入店となったのであった。

 地下に案内された。
テーブルや小上がり席ばかりである。
一つのテーブルを独占して、「はもそば」の注文となったのであった。
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 待つこと10~15分ぐらいか、結構待ったような気がするが…。
やっと「はもそば」が出てきた。
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 小さな「鱧の落とし」が3枚乗っている。
そしてそれぞれに梅肉が乗せられている。
他のトッピングは斜め切りの青ネギである。
さあ頂いてみよう。
 先ずは出汁である。
関西風味、というより京都風味である。
昆布、鰹をベースにしているようだが、甘くも辛くもなく、美味い。
以前にしんそばを食べた時に、鰊の味と絡まって絶妙であったが、そこから鰊を抜くと、味は少しそっけなくなってしまう。
少し薄いかなァと感じたが、それはそれである。
 トッピングの鱧の落としは流石に美味い。
梅肉の味と、そば出汁が滲みて、こちらは絶妙の味となっていたのである。
しかし、鱧の量が少ないので、鱧の食べた感はもう一つでだったのは残念である。

そば麺は美味い。
腰があるわけではない。
しかし柔らかいわけでもない。
100年以上の歴史が作り上げたものなのであろう。
麺には大満足であった。

 さて、そば屋探しの前には祇園祭の山鉾が置かれている場所へ行っていた。
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雨模様で、台風襲来が予報されていたため、飾り物には透明ビニールシートが掛けられている。
白布で包まれているものもある。
また取り外すことができるものは外されている。
ちょっと寂しい状況であるが、天候のせいで人も少ないのでゆっくり見学はできる。

 烏丸通りから東の地区に唯一置かれていて、いつも先頭を巡行する長刀鉾、奥まったところにある棒振り踊りの綾傘鉾など、鉾のみ9基を見てから後の鱧そばであり、祇園祭、別名鱧祭をの一端を堪能したのであった。
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