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 チェーン展開し、京都以外でも知られている京都ルーツの有名ラーメン店には、「TKIP」と「YD」がある。
それぞれの本店の場所は一乗寺と吉祥院で、さしずめTKIPは北の横綱、YDは南の横綱であろう。
この2つの大型チェーン店、似ているところもあるが、違うところも大いにある。
 先ずはTKIPである。
通称「TI」と呼ばれる。
こってりスープ系のラーメンである。
こってりといても程度があるが、このラーメンスープが麺にまとわりつくほどのドロドロスープである。
これが美味いと云って多くのファンを獲得した。
 TKIPの創業は昭和の46年、屋台からのスタートである。
そして味の研究を重ね、昭和50年に最初の固定店舗を構えたという歴史を辿っている。
 少し前、JRの茨木駅で下車したとき、丁度昼ごろであったので、近場の大きな道路筋を歩き、昼食場所を探したことがあった。
少々の空腹でもあったので、ラーメンなどをガッツリと思って歩いていたが、そこにTKIPの赤い看板を発見した。
もう何十年も食べているラーメンである。
迷わず店内に入りラーメンを注文、カウンターで少し待つことになった。
 出てきたのは紛れもなくあのこってりしたスープのTIラーメンである。
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 もう何度も食べているが、この味は変わらない。
見た目には重たい感じがするが、見かけによらずスッキリと食べることができる。
瞬く間に美味しく完食したのであった。
一杯の量は、少々少なめであったのは残念であったが…。

TKIPは全国に230以上の店舗を誇っている。
しかし多くはフランチャイズチェーン店で、TKIPの社員は60名程度しかいない。
店は大型の店舗はあまりなく、そして街中中心で駅近の店が多いような気がする。

 ラーメンスープは共通で、本社工場で製造したものを配っているとのことである。
麺はそれぞれ自由だそうであるが、必要なら本社から届けるシステムともなっている。
スープは鶏ガラ醤油系で、こってり、あっさりの2種類がある。
また、それを合わせた味がさね「こっさり」と云うのも店によっては出している。
 今や京都のラーメンと云えばTKIPと云われるまでになっている。
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 もう一方の南の横綱YDである。
ここはTKIPとは違い豚骨醤油ベースのラーメンである。
屋台での創業は昭和47年、そして店舗を構えたのは昭和52年と、TKIPとほぼ同時期である。
郊外型の大型店中心の展開で、店舗数は30店強であるが全て直営店である。
従って社員は1000人以上もいる。
YDも本社工場を持っていて、そこで製造されたスープとこちらは麺も各店舗に供給している。
 このラーメンも何年も食べ続けているが、大きく味は変わることは無い。
しかし、時代の流れと共に、味の嗜好も変化するので、微妙には対応しているのではと思われる。
 ある時、JR山陰線の丹波口駅で下車して用向き先へ行くことがあった。
丁度昼時であったので、昼飯処を探しながら歩いていると、YDの看板を発見した。
街中でのYDは珍しい。
入ってみると店は小振りである。カウンター一本とテーブルが5~6卓ぐらいであろうか?
カウンターに案内されラーメンを注文、暫く待つこととなった。
 出てきた、出てきた。
見慣れたYDのラーメンである。
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 カウンターには刻み葱のポットが置かれている。
そこから葱を頂き、追加したのであった。
 スープは醤油の味に深みを持たせ、豚骨をあまり感じない独特のYD味である。
麺は中細のストレート麺、これも好みである。
いつもながら美味しく頂いたのであった。
 さてこの2つのチェーン店、創業は同じころで、ラーメンスープ統一の供給は同じであるが、それ以外の手法は全く違う。
 かつての京都のラーメンのイメージは、関西以外のところ特に東京などへ行くと、京風ラーメンという看板をよく見かけたことがあった。
食べてみると醤油のラーメンで面はストレート、いかにも「はんなり味」で、舞妓さんでも出てきそうな京都という感じのものであった。
今でもそのような店は京都駅辺りにはある。
 しかし、そのイメージを払拭し、誤解を解いたこれらのチェーン店の功績は大きいと思われる。
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 余談にはなるが、実はもう一つ京都発の大型チェーン店がある。
「RRT」と云う名である。
元々は伏見の深草で営業していたが、滋賀の野洲に本店を構え200以上もの店舗展開をしている店である。
鶏ガラ醤油スープにこちらは背油や唐辛子を入れたラーメンを供給している。
この店も見逃せない京都発ラーメンである。
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