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 博多と聞けば、各人各様に思い浮かべるものがあると思う。
まず博多ラーメン、長浜ラーメン、明太子、辛し明太、天神、中洲、屋台、ソフトバンク・ホークス、ヤフオクドーム、名菓ひよこ、もつ鍋、鶏水たき、などなど…。歴史が好きな方は、福岡藩黒田52万石の城下町…。
お祭りの好きな方は、祇園山笠、博多どんたく、…。

賑やかで多彩な大都会であるといつも思う。

所用で福岡県のある街に行った帰りに、博多駅で途中下車した。
博多駅は、以前、雑多で賑やかな印象があったが、久しぶりに行ったためか、かなりスマートな駅に衣替えをしていた。

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 そして駅内部も明るくハイセンスなコンコースに生まれ変わっていた。

今までに何度も、博多駅には降り立っているが、あの構内の土産物屋街…、もの凄い呼び込みで、全国一の勢いを感じていた。
今回は、かなり静かにはなっていた。

 世の中標準であろうか?

ちょうど昼時、「折角だから、博多うどんを食べよう…」
博多の美味いもんは、大抵のものは全国区…。
うどんはそうはなっていない。

話は交錯するが、もうかなり前になるが、東京出張の折に、八重洲の地下街に新しくできた博多うどんの店で、うどんを良く食べていた。
若い時はラーメンだったが、少し年を重ねると、うどん・そばみたいな優しいものに走る。
店には、博多ごぼう、丸てんのメニューや、定食があった。
ごぼう、丸てんはどんなものが出て来るのか不安なので、いつも素うどんと炊き込みご飯の定食を頼んでいた。
関西うどんよりも軟らかいうどんで、麺は太い。
出汁も温和で、いつも「うまいうまい」と食べていた。

この前、東京へ行った時、その店を探したが、場所替えをしたのか分からなかった。
「もう、博多うどんは食べられないか…」と思っていた矢先、福岡に行くことになったのである。

博多うどんはどこで食べれるか?
駅周辺を見渡したが、見つからない。
お土産街に行って聞いて見よう…。

一軒のお土産屋さんに行って、
「饂飩のお土産って、置いてますか?」
「そんなのはないですよ。ラーメンだったら一杯あるよ」
「うどんが欲しいのです。じゃあ、どこかにうどん屋さん、ありますか?」
「だったら、駅の外と、地下に有りますよ」
と、店の名前と行き方を親切に詳しく教えてくれた。

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 教えてくれた地下の店に行ってみた。
店頭サンプルでは麺は細い。
念のために、入口にいた店員さんに聞いてみた。
「麺は太い博多のうどんですか?」
「そうですよ…。どうぞ…」
と言われ、店内のカウンター席に座った。「ごぼ天…」と、注文した。
「それに、お持ち帰り、ひとつ…」

暫くして、来た来た。
まさしく太麺と、良い出汁の香りがする。
ごぼうは斜めぶつ切りで、天ぷらにしている。
ころもは軟らかい。
出汁も美味しいが、少し酸味がある。
「これが本当の味か…」
麺は軟らかい。腰はない。しかしフヤケテいるのでもない。
久しぶりの食感に、たちまち完食となった。

帰りにお土産饂飩を受け取った。
麺はゆでてある。
そして、出汁はそのままマヨネーズのようなチューブに入れてくれている。
お土産もできた。
満足してうどん屋を後にした。

さて、歴史好きの小生としてはこれだけでは満足しない。

博多の駅北500mぐらいのところに「承天寺(じょうてんじ)」という寺がある。

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 寺伝によれば、鎌倉時代のころ、京都東福寺を開山した高僧「円爾弁円(えんにべんえん)」が東福寺開山五年後に、この地に臨済宗東福寺派の寺院として建立したものだそうである。

この承天寺の境内に「饂飩蕎麦発祥之碑」がある。

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 合わせて「山笠発祥之地」、「饅頭発祥之地」の石碑も立っている。
中国・宋から弁円が製粉技術とその活用技術を持ち込んだのはこの地が最初であったと云われている。なるほど、ここがうどんの発祥地なんか、うどんの原点を食したか、と思って、博多を後にした。