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 岡山県の岡山市東区、以前は西大寺市と言った所がある。
ここには、西大寺・観音院と云う寺院があり、裸祭りで有名なところである。
この裸祭りは会陽と書いて「えよう」と云う。
 陰暦の1月15日、修正会(しゅしょうえ)の結願の際に神木をまく行事である。
そして参詣者は水垢離(みずごり)を取り、裸で神木(宝木)を奪い合う。
一度西大寺を見て見たかったので、今回は予め予定した途中下車と云うことになる。
 西大寺に行くには、JRの路線名は赤穂線、駅は西大寺駅である。
西大寺へは駅から歩いて15分ぐらいと聞いてたので、まあ気楽に行けるかな?と思って、途中下車した。
 まずは腹ごしらえである。
西大寺駅の正面から見えるところには、食事処は見当たらない。
コンビニが見えるだけである。
昼はコンビニかな?と覚悟して歩いた。
 最初の交差点のところから、両側の道路を眺めてみた。
西方にある「うどん」の看板が目に入った。
他に食事できるようなところは何も見えない。
仕方ないから、そのうどん屋さんに向かって、レッツゴーとなった。
 近づくに連れて看板がはっきりした。
『西大寺うどん うどんだい好き』
と書いている。
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 どんな店か良くは分からないが、店の中に入ってみよう…。
恐る恐る入ってみると、セルフと書いてあった。
「ほう~ゥ。海の向こうの讃岐うどんの店と同じか?」
と思ったのであった。
 商品棚に既に茹で上げられたうどんが並べられている。
小、中、大である。
沢山の量を取って残すのも気が引けるので、小を手にした。
すると棚の後ろから、
「自分で温めて下さいね…」
の声があった。
反対側を見ると湯だめの鍋が置かれ、湯が沸いている。
湯切りカゴにうどんを入れて、適当に温めて、どんぶりに戻した。
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 その次は出汁である。
出汁は選択性で、2つの給ダシ器?があった。
「濃だし」「薄だし」である。
人によって好みが違うので、こういう選択があるのは嬉しい。
大体において濃いめが好きなので、濃いだしを選んでうどん鉢に注いだ。
 次は、具の選択である。
何処へ行っても竹輪天を選んでいるので、ここでも竹輪天を選んだ。
そしてワカメと葱をトッピングしてセルフ製作、終了である。
 空いている席に座った。
と云っても昼も過ぎているので、殆どの席が空いている。
さあ、味わって見よう…。
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 先ず出汁…、濃い味で好きな味である。
更に期待が膨らむ。
次は麺…、少々太目、温め方が良かったのか適度なコシの強さであった。
 竹輪天はどうか…? これは讃岐の勝ちである。素材が違う。
 美味しくは頂けたが、「小」は量が物足りなかった。
 食事の次はいよいよ目的の西大寺へと向かう。
駅前から続く広い通りを南へと歩く。
右手に旧西大寺市役所、現在の岡山市東区役所もある。
それも過ぎて行くと、西大寺への矢印看板が見つかった。
それに従って、今度は東へ進むことになる。
 程なく西大寺の境内の少し手前となり、道路が左右に分かれる。
左方向は五福通りと表示されている。
少し通りを覗いてみると、レトロ調の建物が道の両側に見える。
これは行ってみないと、と云うことで歩いて見た。
古い商家らしい家屋もあり、門前商店街の雰囲気を醸し出していた。
 西大寺へ急ごう…。
西大寺は観音院とも云い、高野山真言宗別格本山の寺院である。
仁王門は楼門風で豪華である。扁額「金陵山」と掲げられている。
 仁王門を入ると、右手に三重塔、正面に横向きで本堂がある。
境内は普通の寺に見られるような草木はなく、学校の運動場のような土の広場である。
本堂が大きいので狭くは見えるが、結構広い。
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 おまけに競技場か野球場のような常設であろう観覧席が、本堂の向かい側にしつらえられている。
1000席ぐらいはあるだろうか…? 数えていないのでわからないが…。
その他にも祭りの時は、立ち見席もできるそうである。
 裸祭りは2月の第3土曜日である。
子供や女性の催しもあるそうであるが、本番は暗くなってからのふんどし一丁の男の裸祭りである。
男たちは本殿裏の讃岐金毘羅さんを勧請した「牛玉所大権現」に参拝して、本堂前の広場へと繰り出す。
 本堂の「御福窓」から大床に「宝木」が2本投げ込まれるので、その場所取りも重要であろう。
午後10時に住職の手によって、それは投げ込まれる。
 奪い合いは本堂大床から石段下になだれ込み、それの争奪戦が繰り広げられる。
最後に確保した者が、福を手に入れたと云うことになる。
 過去のデータでは、9000人が争ったと云う記録もある。
この祭りは見たことはないが、寒い最中、湯気が上がる凄まじいものであろう…。
 人のいない広い夏の境内で、その争奪戦を想像しようとしたが、それは全く無理であった。