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 大阪梅田、大阪駅の正面、通りを挟んだ所にあるHS百貨店の「いか焼き」、近隣の人ならば良くご存じのことと思う。
 百貨店地下階の阪神電車梅田駅の東側の改札を出て、右手にHSのデパ地下へ行く階段があるが、その階段を上がった左手直ぐの所にいか焼きの売り場はある。
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 改札から階段に向うと途中から何とも言えないいか焼きの匂いが漂ってくる。
 デパートの売り場は良く模様替えされるが、この売り場は昔も今も変わらない。
 ここのいか焼きは、専門店のような食事感覚ではなく、小腹が空いた時のおやつ感覚で好まれているようである。
 ここは常に行列ができているので、近くを通りかかっても敬遠していたが、先日は行列がたったの10名くらいだったので、並んでみた。
 メニューを眺める暇もなく順番が来た。
 慌ててメニューを見た。
 「いか焼き」152円、「デラバン」206円、「和風デラ」216円、・・・と、なっている。
「早く決めて…」
 という顔で店員さんが見ている。
 仕方ないので、基本となる「いか焼き」と注文した。
「151円です」との声。
 良くわからないが、料金皿に151円也を収めると、直ぐに前からはレシート、隣からは目的のものが手渡された。
 カウンターも分業が進んでいる。
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 いか焼きは、円形に焼いたものを半分に折って出される。
 発泡スチロールの皿に乗せられている。
 割りばしも用意されているので、早速飲食スペースへ移動し、味わって見た。
 小麦粉に出汁が混ぜられていて、醤油味も少し効いている。
 具はイカの足(げそ)を刻んだもののみ。
 お好み焼きのもっちりふわふわ感ではなく、それよりは少し強い。
 柔らかいせんべいの感覚である。
 いか焼きはそんなに量のあるものではない。
 どら焼き1個分の量ぐらいであろうか…?
 瞬く間に平らげてしまった。
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 このHSのいか焼き売り場、多い時には一日1万食を売り上げるという。
 大阪では最も売れる店との評判である。
 行列を見たことがある人なら、一度は食べてみたいと思うであろう…。
 値段から見て、味は決して裏切らないだろうと思われる。
 ここで、いか焼きのルーツを調べてみよう…。
 いか焼きのルーツは明治時代と云われる。
 当初はせんべい職人の賄いであったらしい。
 せんべいを焼く鉄板を利用して、小麦粉に具を混ぜて焼いて食べていたとのことである。
 お好み焼きと同じようなものであるが、早く焼き上げるために、薄く延ばす、押し付けて中の気泡を出す、ソースを先に掛けておくなどの工夫はしていたようである。
 そしていつのころからか、店頭で売り出されるようになった。
 住吉大社境内の屋台などでも売られていたという。
 このいか焼きが、大阪の街で人気が出たのは、このHS百貨店に売り場ができてからであると云われている。
 昭和の30年ごろである。
 連日大人気であった。
 珍しいのと、その手軽さが受けたのであろうか…?
 この人気にあやかろうと、縁日の屋台などでも次々に売られるようになった。
 また、本格的にいか焼きを食べさせる専門店もできている。
 そこでは色んなバリエーションがあるようである。
 このHSデパートのいか焼き、多くの客を裁くためには、高速で焼くことができるマシンの開発を必要とした。
 具入りの練った生地を上下で挟み込み、早く焼けるマシンである。
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 加熱プレスマシンとでも云おうか、いわゆるズボンプレッサー状である。
 その機械は大阪のあるメーカーが造ったそうである。。
 下の鉄板の加熱はお好み焼きの鉄板と同じでいいのだが、上にかぶせる鉄板を熱する仕掛けに苦労したそうである。
 上下を鉄板で挟み込む焼き方は、早く焼けるということも大事であるが、押し付けて焼くため、小麦粉に含まているグルテンの方向が揃い、独特の食感が出るとも云われる。
 このいか焼き器は、その後改良が重ねられ、現在に至っている。
 電気式、ガス式などがあるそうである。
 加熱力が強い機種なら、1分を待たずに焼きあがるとのことである。
 HSでは10台程度のマシンがフル稼働していて、手際良く作業が進められている。
 そのため、大行列ができていても、それほど待たせずにスムーズに販売できているということで、客にはうれしい限りである。
 これが、流行る理由でもあるのであろう。
 大阪の小麦粉を主体とする「コナモン文化」、タコ焼き、イカ焼き、お好み焼き、そしてうどん、まだまだ健在である。

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