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 大阪市北区に日本一長い商店街がある。
天神橋筋商店街と云う。
南北に約2.6kmの長さで600もの店が並ぶ。
大阪の中之島に流れ込んでくる大川を天神橋で北に渡った所から、始まる商店街である。この商店街は住所に従って、一丁目から七丁目までに分かれている。
まず一丁目は屋根のない青空商店街である。
北に進むと次は二丁目、ここからドームのあるアーケード街となる。
二丁目は、右手奥に大阪天満宮、それに寄席の天満天神繁昌亭がある。
この商店街にはさぬきうどんのセルフ店があり、たまには昼食に利用させていただく。
 この二丁目が尽きる所には、地下駅であるJR東西線の「大阪天満宮駅」、地下鉄の「南森町駅」があり、3つの路線が通っている。
ここには広い道路が東西に通っている。
国道一号線、通称「曽根崎通」である。
 この国道を渡ると三丁目。
天神橋筋で最も長い商店街である。
お菓子の「KK堂」は150年もの間、天満宮の供物菓子を納めてきた老舗である。更に北へ行くと、四丁目商店街に入る。
ここには地下鉄「扇町駅」とJR環状線の「天満駅」がある。
商店街の左手西側には、車道の天神橋通りを挟んで、広い扇町公園、フジテレビ系の「関西テレビ」本社、子供の遊び場「キッズプラザ大阪」、それに大人も用がある「北区役所」がある。
 扇町公園は江戸時代には刑場であった。
その後、大阪監獄署となったが、堺市へ大阪刑務所として移転され、跡地が公園となったものである。
その後公園の一角に、テレビ局が移って来ている。それにしても、JRの天満駅前は雑多で賑やかな、訳の分からない雰囲気である。
路地や横丁も迷路のようにあって、立ち呑みのメッカでもある。
料金も極めて安い。
大阪のサラリーマンなら一度や二度は呑みに行ったことがあろう。
 少し北に行くと五丁目商店街、広い通りを渡って六丁目商店街へと続く。
多少は落ち着いてくる。
六丁目が尽きるところは天六の交差点で、大阪駅から都島に向けて都島通が通っている。
この東南の角に「大阪くらしの今昔館」があり、かつての大阪の町屋や長屋を再現している。
 交差点を渡ると七丁目商店街、上空オープンの商店街となる。
この辺りまで来ると、本当に美味しい食べ物の店が並んでいると云われる。
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少し早い目であるが昼にしようと、この商店街にやってきた。
美味しい寿司を安く食べさせる店が沢山あるので、その近くまで行って店を決めよう。JRの天満駅で下車し、雑多な中を歩いて行く。
平日であるが人出は多い。
人の間をすり抜けながら歩くことしばし…。
寿司屋さんが左右に現れる。

ここでもいいが、やはり路地に入った方が美味しそうである。
左右の路地を眺めながら進んで行く。
天神橋筋とその周辺には寿司屋が50店以上もあると云う。
 右手奥に行列の寿司屋「HK」があった。
有名店である。
その店の前にも「SM」という有名店がある。
1人で行列に並んでも退屈なので、SMに入ってみよう。
 表でメニューを見ていると引き戸が開けられ「いらっしゃい!」の声。
そのまま、カウンターに案内されてしまった。
店内は6~7割の入りである。
 注文は表のメニューにあった「サービスにぎり盛り合わせ、赤だし付」である。
ワンコインであるので、それはそれで嬉しい。
 まずアガリ、そして赤だし、寿司の順で意外と早く出てきた。
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 寿司はにぎり7貫と巻き2つである。
陶器の皿に盛り付けられているので食欲がそそられる。
刷毛でムラサキを塗る方式である。
 早速、頂いてみた。
ネタは意外と厚い。
回転100円寿司に比べて、シャリも握りたてなのでみずみずしく、そして美味しい。
赤だしも合わせて瞬く間に完食となったのであった。天神橋の寿司屋の中でも、あと1店「YK寿司」を加えてこの3店が有名店である。
もう40年以上も、ここで商売をしていると云われている。
面白いことに、3店同時に行列ができることは無く、このいずれかの店一つだけが行列になるそうである。
 3店それぞれに味は違うと思われるが、人気が時により変化すると云うのはどうだろうか?
 我々平民は何時も寿司を口にしているわけではないので、その味の判定は難しい。
その時々の多数決に委ねてしまうのが常である。
 ネタの種類には好き嫌いがあろうが、美味しい寿司を安く食べられるのはありがたことではある。
商店街の寿司激戦区に感謝して、天神橋筋商店街を後にしたのであった。