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 岡山市の江戸時代の街道である庭瀬往来や庭瀬城・撫川(なつかわ)城を眺めてみようとJR山陽本線庭瀬駅で下車した。
 庭瀬駅の正面から伸びる駅前通りを庭瀬往来が東西に横切っている。
豊臣秀吉の時代、岡山城主であった宇喜多秀家が北を通る西国街道を城下に引き込み、そして城下から領地内各所との行き交いを良くしようと6つの官道を定めた。その6つの官道とは、美作の林野まで行く「倉敷(現在の倉敷ではない)往来」、西の鴨方から笠岡や尾道を目指す「鴨方往来」、北の備中松山を目指す「松山往来」津山を目指す「津山往来」、それに南の下津井港を目指し、その先船に乗って琴平宮を目指す「金毘羅往来」、東の西大寺を経て牛窓を目指す「牛窓往来」である。

 城下から庭瀬までは倉敷往来、鴨方往来、金毘羅往来の3往来は共通の道路であり、「庭瀬往来」と呼称されていた。
 庭瀬駅を降りた時は丁度昼食の時間帯であった。
まずは腹ごしらえである。
しかし、駅前には食事処が見当たらない。
少し北へ行くと県道がある。
そこにはスーパーや銀行などあり、少しの商業エリアとなっている。
 探してみるとラーメン屋があった。
支那そば「SQ」と云う。
岡山ラーメンで知られる県内のチェーンである。
行列こそ無かったが、駐車場は満杯で道路にも一部車がはみ出している。
 流行っている店のようである。
良いところを見つけたと云うのが実感である。
迷わず入ってみた。
 店内は7割方の客がいる。
カウンターに座ってメニューを見ると少々お高い感じがしたが、美味ければ良しとのことで、基本の「支那そば」を注文した。
 待つこと5分ぐらいか、支那そばが出てきた。
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 青磁色のラーメン鉢に濃そうな色の醤油出汁である。
麺は半生麺の手ごろな細さである。
表面は透明な油で覆われている。
トッピングはチャーシューとメンマそれに刻み葱である。
見た感じは広島ラーメンの色濃い風である。
先ずは頂いてみよう。
出汁は標準よりは辛い。
塩分が多いような気がする。
出汁は魚介類であろう、好きな味ではある。出汁が辛い分メンマは甘く感じる。
チャーシューは赤身の部分であったが、柔らかく仕上げられていて美味い。
麺には出汁が上手い具合に滲み込んでいる。
大好きな味である。
少々辛いなと思いながらも完食したのであった。

恐らくはこの支那そば、ご飯と一緒に食べれば程よいのであろう。
力仕事をして汗をかいての昼めしには最高であろうと思われる。

 広島から三原、尾道、笠岡を通って岡山までの山陽道のラーメンの共通項は、瀬戸内の魚介を出汁に、表面に豚の脂を散りばめた形である。
 油は背脂とラードと形は違うが…。
麺はストレートの生麺で、麺の味も合わせて楽しませてくれる。
しかし、笠岡の鶏のチャーシューだけは小生には合わない。
こんなことを思いながら「SQ」を後にしたのであった。
 その後、庭瀬往来を歩きつつ、庭瀬城・撫川城を訪れた。
庭瀬は秀吉の備中高松城水攻めで知られる足守川の下流で、川がカーブする内側にある街である。
川から引かれた多くの水路が網目状に交錯している街である。
かつては庭瀬港も開港されていて、陸路と水運の結節点でもあった。
 街道筋には幾つかの古きを偲ばせる商家がある。
また、城跡は建物こそ無いが、濠の様な水路に囲まれた独特の雰囲気を醸し出している。
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