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 前回からのラーメン繋がりで和歌山ラーメンを求めてみる。
 和歌山市を中心に「和歌山ラーメン」というB級グルメのブランドがある。
ご当地では、ずっと以前からラーメンのことを「中華そば」と呼んでいる。
このラーメンを味わうことを目的の一つとして途中下車した。
 上手い具合に昼時の途中下車なので、早速にラーメンである。
 和歌山ラーメンは大きく分けて2種類に分類されると云われている。
一つは「井出系」、もう一つは「車庫前系」である。
この分類は、新横浜のラーメン博物館にかかわる人達の分類だそうである。
 井出系は、和歌山駅にほど近い「ID商店」が元祖である。
豚骨を十分煮込んだスープに、醤油等で調味したものである。
いわゆる豚骨ラーメンの醤油味付けである。
 車庫前系はルーツの店は知らないが、かつて和歌山と海南を結ぶ路面電車の車庫があったあたりで提供されていたラーメンで、その名が付けられたらしい。
豚骨を醤油で煮て、味が滲み込んだ豚骨を取り出し、その豚骨でスープをつくる。
それに野菜やら鶏ガラ、鰹節などを合わせて調味する。
どちらかと云うと醤油風味のラーメンで、醤油のコクが引き立つと云われる。
 それぞれ調理する順番が違うだけのものであるが、味はそれなりに変わると云うものである。
 和歌山は元々、湯浅と云うところが日本の醤油の発祥地である。
その醤油を上手く活用することには一日の長があるのであろう? 醤油にこだわる風土から生まれたものである。
 さて、どちらにするか?
以前、井出系を食べたことがあるので、今回は車庫前にしよう。
といってもどのあたりが車庫のあった所か明確に覚えていない。
しかし大体の見当は付くので、バスで行ってその辺りでラーメン屋さんを見かけたらそこへ行けば良いとの考えである。
 和歌山駅からバスに乗って、途中で和歌山城を左手に見て、城を回るように90度カーブする。
少し行って、この辺りが車庫前かな? と思うところでラーメン屋が見えた。
次の「堀止(ほりどめ)」というバス停で慌てて降りた。
歩いて少し戻れば、そのラーメン屋「MY」に行ける。

暖簾をくぐり、カウンターが空いていたので座った。
「中華そば」それに「早寿司」を注文した。
「早寿司はカウンターに置いてあります。セルフで食べてください」
と云われ、見てみると確かに置いている。

 早寿司は和歌山名物の鯖の腐り寿司「なれ寿司」の軽いもの「早なれ」のことであろう?
合わせて食べてみようと、一つ取って小皿の上に置いた。
 中華そばも出された。
さあ、味わって見よう。
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 まずは早寿司、あっさり味である。
鯖のきずしをネタにした柿の葉寿司と似たような味であった。
 次は中華そば。
スープの色は黄土色。醤油を豚骨で薄めたような色である。
刻んだ葱、メンマ、チャーシューが乗っている。
 麺は細めのストレート麺、色は黄色がかっている。
 まずスープ、味が薄めで、あまりパンチが無い。
ラーメン胡椒が置いてあるので、早速、振り掛けた。
少しは濃口の味になった。

次に麺、これは好きな麺なので、堅めで美味い。
これはいける。

次に具、メンマはともかくチャーシュー。
厚めで小さめ、バラ肉でこれもプリプリして美味い。
 具に何故か蒲鉾が入っている。
蒲鉾入りラーメンは初めてである。
 実は和歌山の和歌浦と云うところは蒲鉾の有名地である。
MHの蒲鉾と云う。
和歌山らしいところを出したのであろうか?
何やかや思いながら、最後まで完食したのであった。
 和歌山ラーメンについて考えてみる。
元々、和歌山の中華そばは、豚骨に邪魔されない醤油味の美味しいラーメンであった。
全国的な分類で云うと、醤油系の魚出汁を重視した美味しいラーメンであった。
豚と云えば、広島ラーメンのようにラードが使われた程度であった。
街の一般的な食堂のメニューにあって、食べるのが楽しみであったものである。
 それがいつの間にか豚骨に侵入されたようである。
世の中の趨勢であるから、しようがないとは思われるが…。
 それに観光協会が輪を掛けたように宣伝した。
観光ビジネスは理解できるが、それはつかの間のことである。
創られた和歌山ラーメンが現出してしまった感があるのは否めない。
 しかし、この和歌山ラーメンの宣伝効果があって、ご当地ラーメンの全国舞台に登っている。
 和歌山は醤油の発祥地であるので、もっと味を追求する方が良かったのではないかと思うのは小生だけであろうか?
 原点に帰って、一度見直して欲しいものである。
具も蒲鉾やハムで、乗っていると云う程度でいいのではなかろうか?
和歌山に関係ない輩の辛口の感想で申し訳ないが、如何であろうか?
 伝統を重視した食文化をと思うが、それを痛感したラーメンであった。