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 今回もラーメンである。
ブラック繋がりで、京都のブラックを訪れてみる。
 京都で幾つかの用があり、その谷間の時間で昼食をしようと近くにあったラーメン屋「SPS館」に行った。
ご存じの方も多いとは思うが、この店は1937年に屋台で創業した京都では最も古いと云われている老舗のラーメン店である。
 本店はJR京都駅の東側にある跨線道路「高倉通り」の橋の袂に、もう一軒の老舗ラーメン店「DIA」と軒を並べている。
高倉通りの橋なので通称「たかばし」と呼ばれる場所である。「SPS館」のラーメンは黒いスープでおなじみで、今までに「富山ブラック」「大阪ブラック」と味わってきていたので、今度はその流れで京都のブラックラーメンを味わうことにした。

 京都のラーメンと云うと、醤油のあっさりした「京風ラーメン」が主流のように思われている。
しかしこれは観光用であり、京都のラーメンはそれとは違い濃厚なのが特徴である。
 「SPS館」の京都御所の近くの店に入って、中華そばを注文して待った。
この店は焼き飯も黒い色をしていて、客に大人気だそうであるが、そんなに食べられないので、今回はパスである。
 暫くしてラーメンが出てきた。
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 スープの色はかなり黒い。
黒いスープの上に一面のチャーシュー、それに葱ともやし…。
 スープを一口味わってみる。
濃厚ではあるが、富山程は辛くは無い。
先日頂いた大阪ブラックと良い勝負か? 少しこちらの方が辛めか? というところである。
麺は太目の非熟成のストレート麺。
スープの味が滲みて、美味しい。
 沢山のチャーシューがのっているので、いくら食べても無くならない。
麺とチャーシューを交互に口に運び、最後にスープを飲んで、完食となった。程よい辛さで、スッキリとした後口であった。

 昼食は終わったがまだ時間がある。
この店は京都御所の近所、府立医科大学の門前にある。
店を出て西を見れば、すぐそこに京都御所の門が見えている。
 そうだ、御所へ行ってみようと歩き始めた。
 この日の御所の中は、何やら人が沢山歩いている。
花見に来ているのか? 桜は真っ盛りなんだな? と期待が膨らむ。
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 南の建礼門の前あたりまで来ると、特に多くの人が歩いている。
「ひょっとしたら」と思い、塀の角を曲がってみると「やはり」であった。
 何と御所の一般公開の日であったのである。(取材は桜の4月)
「これはラッキー」と、入ってみることにした。
 西の宣秋門から入るが、行列はなくスッと入れた。
 車寄、新車寄と玄関の屏風の絵を眺めながら進んでゆく。
南の朱塗りの承明門から紫宸殿を望む。
一億総カメラマンの1人となって、写真を写すことに余念がない。
カメラの構図ばかりを考えながら進んでゆく。
 東側に回り、日華門から2重構成の内側である内裏(だいり)紫宸殿前に入って行くが、その北東に余り綺麗でない忘れられたような建物がポツンと建っている。
春興殿という。
どうしてこのような状態で放っておくのか? この前に来たときにも疑問に思った。
 紫宸殿前に至る。
堂々としたものである。
左近の桜は薄茶色の葉を少し交えて、しっかりと咲いている。
橘も青々とした葉を付けている。
紫宸殿の横を通り、清涼殿前へと進んで行く。
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 清涼殿は元々は天皇の日常の住まいであったが、後年は天皇の住まいは、もっと奥の御常御殿と云うところに引っ込んでしまっている。
清涼殿と云えば、平安時代の一条天皇の時に、夜な夜な現れ天皇を悩ましていた鵺(ぬえ)を源頼政という武将が退治をしたと云う話が思い出される。
しかし、平安時代の御所はこの場所ではなく、ズウッと西の平安京の御殿の場所であったのであるが…。
 この場所へ御所が移されたのは鎌倉時代も後期で、南北朝に分かれていた時代のことである。後醍醐天皇の南朝に対抗して造られた光厳天皇の北朝の御所が現在の御所のベースとなっている。
そしてその後世の天皇の系統の政庁もそのまま引き継がれているのである。
 御所の内庭を出て、北側へ回る。
北側には枝垂れ桜が沢山植えられている。
形の良いのもあり、多くの人が眺めつつ写真を撮りつつでああった。
 その後、御所の東側の広場を通り、河原町通りに戻ってきて、次の訪問先へ急行したのであった。
ラーメン、御所、桜を楽しんだ休憩タイムであった。