花園というところは全国に何か所もあるが、今回尋ねたのはJR嵯峨野線の京都市右京区にある花園駅である。
近くには法金剛院や妙心寺など有名な寺院、双ヶ丘、太秦映画村もあるが、映画村以外は団体さんが訪れるような観光名所ではないので、この地名自体は余り知られていない。
花園へは京都駅から嵯峨野線の各停に乗って4駅目、10分強で着くことができる。

花園駅で下車した。

駅の前の通り新丸太町通りを挟んで西斜め前にある法金剛院を訪ねた。
この寺は関西花の寺として知られている。

丁度蓮の花のシーズンであった。
境内には白やピンクの蓮の花に加えて八重の蓮が今を盛りに咲いていた。 この寺は平安時代に右大臣清原夏野の山荘であったところである。
その時代から夏野が周囲にいろんな花を植えていた云われる。
その花が花園の名の起こりと云われている。

夏野の死後、文徳天皇の発願で伽藍を建立し天安寺と称された。
その後荒廃したが、平安末期に崇徳天皇、後白河天皇の母である待賢門院によって再興された。
境内は浄土式庭園として整備され、背後の山五位山から流れ出る日本最古の人工の滝「青女の滝(せいじょのたき)」も設けられている。

お堂の中には、重要文化財で4本の手を持つ珍しい十一面観音坐像、本尊の阿弥陀如来坐像なども見事なものである。
ご朱印を頂いて寺を後にしたのであった。

法金剛院から通り沿いに東へ行くと禅宗の妙心寺がある。
この寺は花園法皇の離宮であったが、後に関山慧玄を開基として迎え、妙心寺となった。
幾つもの塔頭を備えた立派な寺である。
境内には明智光秀に関わる遺構「明智風呂」と云うのもある。また非公開であるが信長の墓所もある。

また寺の東側には、妙心寺が経営する学校、花園中学校、花園高等学校、少し離れるが花園大学がある。
しかしながら妙心寺には何度も訪れているので、今回はパスとする。


花園駅から西へ行く。
高雄に行く道、若狭街道との交差点がある。
双ヶ丘を眺めることができる。
双ヶ丘は100m程度の山が並んでいるところであるが、23基もの古墳があり国の名勝に指定されている。

もう少し西へ行って、鉄道線路を潜る。
潜った所は和泉式部町という。
恋多き女と云われる和泉式部に関係するところであろうが、眺めてみても何もありそうにはない。
通り過ぎて南へ下がることにする。

若狭街道沿いに歩く。
右手にDNP印刷の大きな工場がある。
ここはもう太秦である。
工場の横を西へと入る。

暫く行くと神社がある。
通称「蚕の社(かいこのやしろ)」、正式名は「木嶋坐天照御魂神社(このしまにますあまてるみたまじんじゃ)」である。

渡来人秦氏の神社である。
秦氏は養蚕、機織、製陶などに優れた技術を持っていて、京都や畿内の発展に大きな功績があった一族で、良く知られているところである。
また古来から祈雨(きう)の神としての信仰も厚い。

境内には蚕ノ社の名前に因んでいる「養蚕神社」がある。

また境内には「元糺(もとただす)の森」があり、立ち入り禁止である。
この森の入り口には、日本三珍鳥居と云われる石造りの三柱鳥居が建っている。

境内からは清水が湧き出ていて「元糺の池」を形作っている。
この神社は京都市の史跡として指定されている。

御参りして神社を後にしたが、暑かったので門前のコンビニで一休みした。

参道を南へ歩く。一の鳥居の所には「蚕ノ社」と云う嵐電の駅(停留所)がある。
また近くには京都地下鉄が来ていて、駅に行くことができる。

丁度市バスが通りかかったのでそれに乗って、そのまま探索は終了となった。

〔はノ駅 完〕