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 兵庫県神戸市の六甲山を越えての北側に、三田(さんだ)市という市域がある。
宝塚市や西宮市を流れる武庫川の上流地域で、山間部に広い盆地が広がる地域であるが、大阪や神戸の都市圏に近いとのことで、近年はニュータウンが開発され、ベッドタウンとして良く知られるようになったところである。
 この三田市には、延喜式神名帳記載の式内社が1社のみ鎮座している。
「高売布(たかめふ)神社」と云う名で、宝塚市の阪急電車の駅名にもなっている「売布神社」と姉妹の様な神社である。
 先ずはこの神社を訪れてみる。
鉄道、バスも無いので、自力でのドライブに頼らざるを得ない。
 三田市の中心部から北東へと延びている県道37号線を進む。
市街地を抜けると、田園風景のドライブとなる。途中道は北向きとなる。
一頻り進んだころ、左手にドライブインかレストランの様な新しい建物がある。
看板には「TKSの里」とある。

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後で訪れることにして、先ずは神社を目指して進む。

 県道沿いに「高賣布神社」を発見、参道口である。
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この誘導に従って進むと、左前方に神社らしき佇まいが近づいてくる。
いよいよ到着である。

 社頭には道路に面して鳥居が建っている。
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 そして式内社に比定された証として、江戸享保年間に寺社奉行大岡忠相の命を受け調査した儒学者・地理学者の並河誠所の作製の標柱が建てられている。
「高賣布社」と読める。
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 境内に入ると正面が一段と高くなっていて、拝殿が祀られている。
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 そしてその背後には本殿が祀られている。
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本殿の祭神は、下照姫(したてるひめ)命(または高比売命)を主祭神とし、天稚比古(あめのわかひこ)命を配祀している。
尚、下照姫は宝塚の売布神社の祭神でもある。

 下照姫は里人が飢えと寒さで困窮しているのを見かね、稲を植え麻を紡ぎ布を織ることを教え、その後これにより豊かになった里人が下照姫神を祀ったと云われている。
 尚、この本殿は室町時代の再建とされ、国の重要文化財に指定されている。
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 この辺り一帯は、平安時代には源満仲の領地で、江戸時代には麻田藩主青木氏代々の祈願所となったとのことである。
 神社の社頭はかつては広かったのであろうが、現在は極めて狭い。
様々な事情で、減っていったのであろうと思われる。
 神社の正面の田畑の向こうに整った山が見える。
大船山と云う。
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 神社から引き返す。
先ほど見た「TKSの里」へと向かう。
 見るからに立派な造りであり、期待が膨らむ。
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中に入ると、「もち」が売りとのこと。
三田で育てられているもち米 「 ヤマフクモチ米 」 を100%使用した もち処で販売所とのことである。
店を入った所では、その餅と餅の加工品が並んでいる。
また、地元の野菜も販売されている。
 奥には、テーブルが並ぶ食事処でもある。
しかし食事メニューは多く無い。
山菜おこわ定食とつくしうどん・そば程度である。
 昼にしようと決めて入ったので、何かを頼まなければならない。
サンプルに、ご当地名物の餅が乗った「つくしそば」を注文したのであった。
 暫くしてそばが出てきた。
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 濃いめの出汁色である。
そしてトッピングは、焼いた餅、揚げ、蒲鉾、刻み海苔、刻み葱、そして揚げの上に何か乗っている。
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その乗っているものを箸で摘んで持ち上げてみると、なんとつくしではないか。
つくしの佃煮の様であり、全くの初体験である。

 先ずは、出汁。濃い色ではあるが、味は普通の醤油味である。
さて、問題のつくしである。
少し食べてみるが、感触はあまりない。
美味いとも言えず、不味いとも言えずの、良くは分からない味であった。
 とりあえず、つくしそばを完食、店を後にしたのであった。