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 大阪市内の京橋駅と京都南部の木津駅を結ぶJR片町線の大阪府域内に四条畷と云う駅がある。
四条畷駅という名であるのに、駅の所在地は大阪府大東市である。

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ややこしいが、四条畷駅に隣接しているのは四條畷市である。
どうしてこんなことになっているのか、それには少し歴史を遡らなければならない。

 始まりは、南北朝の時代。
楠木正行(まさつら)を主将とする南朝の軍3千がこのあたりの四条縄手と云われる場所を戦場として、北朝に加担する足利方の高師直(こうのもろなお)の軍6万と戦い、敗れたことに端を発する。
敗れその場で自害した楠木正行は、現四條畷市雁屋南町に葬られ、室町、戦国、江戸時代を通じてその墓は「楠塚」と呼ばれてきた。
 明治になって、時の政府により南朝が正統と認められ、父親の楠木正成(まさしげ)は大楠公、正行は小楠公と崇められ、正行の墓所は「小楠公御墓所」と名付けられた。
 また同時に、この地の東の飯盛山の山麓にある住吉平田神社の神職らが中心となり、正行を始め家臣らを祀る神社の建立を願い出た結果、「四條畷神社」の社号の宣下が勅許され、明治の23年に神社は創建されたのである。
 その後、鉄道が大阪京橋からこの地まで敷設され駅名を神社に因み「四條畷」と命名したことにより、「四條畷」がこのあたりの通称となった。
そして四條畷が、このあたりの施設名の冠としてつけられる事例が数多く発生したのである。
 元々このあたりの地名は讃良郡甲可村と云われていたが、通称で使われていた四條畷が昭和の時代になって優先したことから四條畷村と村名を改称、その後四條畷町、そして四條畷市となったのである。
 しかし、駅やその隣の四條畷学園は大東市の市域になったため、現在のような変則的な事態が発生し継続されている。
また駅名は、常用漢字が推奨され、現在は四条畷駅となっている。
 前置きがかなり長くなったが、今回四条畷駅で下車し楠公に関係する場所の探索と昼食をすることにした。
 小楠公の墓所は駅の北西方向の近くにある。
墓所には、多くの「楠公まつり」の幟が建てられている。近々祭りがあるようである。
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 墓所の前から東の飯盛山に向かって一直線の道路が付けられている。
四條畷神社への参道である。
先ずは食事処の見当を付けながら、神社へと向かうことにする。

途中、片町線の踏切を渡る。踏切の右手は四条畷駅である。
因みにこのあたり一帯の住所地は「楠公」と云う。

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 右手に四條畷学園を見て、東高野街道(現国道170号線)と交差するところに一ノ鳥居が建っている。
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 更に山へと向かう。参道沿いに紅白の花桃が植えられているが、咲き始めのころである。
最終的には少しの登りとなり、参道石段下の二ノ鳥居に到着する。
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 石段を登ると境内である。
境内は山に沿って細長い形となっている。
 境内では白いテントや拡声設備の準備がなされている。
聞いてみると楠公祭りは明日だそうである。
 菊のご紋が付けられた木の鳥居の先は神域である。
鳥居を潜って左手に正行公の母子像、そして右手に父子像が祀られている。
そして正面に正行公と家臣を祀る拝殿、本殿が祀られている。
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 また拝殿横に、正行公の母君を祀る御妣(みおや)神社が並んでいる。
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 境内から眼下遠くに、梅田や京橋のビル群、そして六甲の山並みが良く見える。
 お参りを済ませ御朱印を頂き、北にある住吉平田神社を覗いてみる。
一直線の石段が225段あり、結構ハードな参拝であった。
 元の参道へと戻る。
 先ほど見当を付けた昼食処へと急ぐ。店の名は「FKすし」と云う。小楠公墓所のすぐ近くである。
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店頭の掲示に、楠公にかかわる名称の料理があったのが選択の理由である。

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店は客は一組だけで、空いていた。
寿司屋であるので、調理人はカウンターの中で仕事をしている。
大きな湯呑のあがりが出された。それへのお返しで「楠公うどん、お願いします」と注文を済ませたのであった。

 うどんは奥の調理場で作っているようである。
5分ほど待って、楠公うどんが出てきた。
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 うどん鉢一面にカラフルに具がのせられている。
焼きアナゴ、蒲鉾、とろろ昆布、海老、天かす、刻み青葱、玉子焼き、ワカメ、それに沈んでいるが鶏胸肉の細切り等である。
 さて、頂いてみよう。
先ずは出汁、昆布味が強く、節の味は隠れているような感じで、結構美味い。
さすがに寿司屋の出汁である。
 次はうどん麺、ピカピカで滑りが良い。
食べてみると、コシは感じられない柔らかな麺である。これはこれで関西風で美味い。
 大阪にかやくうどんと云うのがあるが、かやくとは「加薬」のことで、麺本来の味を引き立てるために各種の具がのせられたものである。
楠公うどんもこれである。
 麺といろんな具の組み合わせを味わいながら最後まで美味しく頂いたのであった。