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 西鉄久留米駅から東方向へ向かう西鉄バスの最初のバス停は「五穀神社」である。
五穀神社とはどういう神社なのか、全く分からなかったが、バス停1区間なので、駅から歩いて訪れてみた。
 歩く通りは「文化センター通り」と云う。
神社の先に公園があり、文化センター、美術館、図書館があることから名前が付けられている。
そして文化センター通りの先は筑後通りと云い、筑後川に平行して東へと向かう通りである。
 文化センター通りに五穀神社への参道入り口がある。
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 参道を辿って行くと社頭の鳥居、そして石造りの太鼓橋が設けられている。
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太鼓橋の先は「郷学の森」と云われ、久留米出身の著名人、中でも東芝の創業者である田中久重氏やブリジストンの創業者石橋正二郎氏などの全国的に知られる人物を含め、都合6氏の銅像が建てられているところである。
特に田中氏はこの神社の近くの生まれで、子供の頃はこの神社の森を遊び場にしていたと云われている。

 その郷学の森の西側に五穀神社の社殿が祀られている。
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 この神社は比較的新しい。
創建は江戸時代の中期、久留米藩藩主の有馬氏の7代目の創建とされている。
 創建に至る経過は、農民騒動がその原点であったと云われている。
 農民騒動を収束させたのは久留米藩家老の稲次因幡正誠(いなつぎいなばまさざねこう)であったが、その後、家老が農民と約束した収束の条件について藩主や家中が不満や怒りが募り、家老は幽閉され、そのまま悲痛の内に亡くなったと云われる。
 そして功労者である家老の死に際し農民の不満が再び勃発する気配となり、藩主としては悲運の死を遂げた元重臣の怨霊に対する恐れも加わり、藩主自らがこの神社を創建することになったという経緯を辿っている。
 本殿には食物の神である豊宇気比売神(とようけひめのかみ)を主祭神に、そして相殿に相殿に稲次因幡正誠公が祀られている。
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 この神社、社殿の部分は小さく、かなりな広場を持つ神社で子供らの遊び場にはもってこいであろう。
訪れた時も、母子連れで遊ぶ微笑ましい姿が見られた。
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 神社の横から退出すると、その先にラーメン屋があった。
久留米ラーメンの店ではよく知られている「THラーメン」の本店である。
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 まだ昼を済ましてなかったので好都合である。
幸いに表の行列椅子も空席である。
思い切って入って見たのであった。
 カウンターとテーブルの結構大きな店である。
カウンターには少しの空きがあったので、腰掛けて注文の段となった。
 メニューを見てみると、昔ラーメンというシリーズと普通のラーメンというシリーズがある。
この場合は、やはり昔ラーメンであろう。
久留米ラーメンのルーツを味わってみよう。
 待つこと5分位か、昔ラーメンが出てきた。
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 トッピングは、チャーシュー、メンマ、海苔、刻み葱と、他のラーメンと特に変わることはない。
スープが泡立っていることと、豚脂の揚げ玉(カリカリ)が他の豚骨ラーメンと違っているようである。
さて味わってみよう。
 先ずはスープである。
豚骨であるのはわかっているが、どの程度の濃さなのか?
最近は、豚骨でもかなり濃厚なのが流行っているが、その濃厚とは逆の様子である。
どちらかというとアッサリした豚骨である。
ラードの香りは豚骨ラーメンには必須であるが、このラーメンアッサリなのに、ラードが少しの濃厚さで効いていて、好きな味である。
それなりの仕掛けをしているのであろう。
 次は麺である。
麺はストレートの細麺である。スープの味がしみ込んでいる気配である。
これもそれなりの苦労で作り上げた麺なのであろう。
 チャーシューやメンマはラーメン内での存在感をあまり主張しない。
麺と一緒に食べてもその食感に違和感は無い。
 久留米ラーメンのルーツをしっかりと味わって店を後にしたのであった。
 少し調べてみると、久留米は豚骨ラーメンの発祥地であり、屋台「南京千両」は昭和の12年から現在に渡って営業されているとのことである。
その場所は、西鉄の線路を挟んで反対側で、夜だけの営業であるのは残念である。
 今回のTHラーメンは昭和28年の創業で、創業以来、継ぎ足し仕込みで炊き続ける独自の「呼び戻しスープ」が神髄とのことである。
尚、久留米ラーメンは、発祥以来、玉名ラーメン、熊本ラーメン、そして佐賀ラーメンへとその流れが広がったとされている。
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 久留米からの帰りは新幹線が走っているJR久留米駅とした。
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 駅前には、五穀神社の胸像の著名記念碑がある。
東芝の田中氏は若き頃五穀神社の祭礼の時、新たなからくりを考案して人気を博し「からくり儀右衛門
」と呼ばれた。
それを記念して「からくり時計」が設置され、次官が来ればそのからくりが披露されている。
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 また、ブリジストンの石橋氏には、世界最大径4mのタイヤが設置されている。
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