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 大阪の中心部を南北に貫く大阪市営地下鉄の線区は御堂筋線という。
北部に繋がる北大阪急行線と相互乗り入れしていて、北の終点は豊中市の千里中央駅、南は堺市の中百舌鳥駅である。
大阪では最も古い地下鉄で、昭和8年、梅田と心斎橋の間が開業されたものである。
 この御堂筋線にはもう一つの特徴がある。
それは、大阪以外からの利用者が多いことから、旅客案内を分かり易くするために難読駅名にひらがな表現を採用していることである。
その駅は3駅あり、難波駅は「なんば」、我孫子駅は「あびこ」、中百舌鳥駅は「なかもず」としている。
 今回その「あびこ」駅で途中下車し、昼食と近隣を訪ねて見ることとする。
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 駅の北口を上がると、「あびんこ」と云う東西に長細い商店街がある。
横の路地も含めて賑やかな商店街で、多くの食事処もある。
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 この商店街を東へと進み、ひと気が少なくなった辺りで南へ行くと「UDN小屋」と云う少し変わったネーミングの店が目に止まった。
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うどん店であることは間違いなさそうだが、名前からして創作系の店であろうか?
ここに決め、入ってみた。

 中は客が一杯であった。
ドアを開けたところに椅子が数脚、その椅子に腰かけて待つことになった。

待っている間にメニューを眺めて見る。
温かいのから冷たいのまで、多彩なうどんが用意されている。
この日は暑い夏の日であった。
夏季限定の「ひやひやすだちうどん」がピッタリ合うような気がした。

 椅子に腰かけて15分位経ったころやっとお呼びが掛かった。
2人用テーブルに座り、すだちうどんを注文したのであった。

2階にも客席があるようである。
料理は2階に運ばれてゆくが、中々こちらには来ない。
15分くらい待たされ、やっとのことで「すだちうどん」が出てきた。

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 手打ちうどんに褐色の出汁、そして一面ににすだちの輪切りスライスが乗っている。
さて頂いてみよう。
 出汁は濃い目でコクがあるが、すだちの果汁がかぶって、爽やか系となっている。
うどん麺はコシがあるが、そんなに強いものでは無く、歯触りも上々である。
冷たくそして爽やかなうどんであり、瞬く間に完食となったのであった。
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 なぜ「すだち」なのかは分からないが、この分であると「レモン」や「かぼす」なんかもいけるかも知れないが、料理人が試した結果、すだちになったのであろう。
 夏向きの美味い一品であった。
さて、近隣の探索である。
「あびこ」と云えば「あびこ観音」がその代名詞である。
地下鉄あびこ駅を挟んで西側に、そのあびこ観音が祀られているので行って見ることにする。
あびこ観音の参道寺門は南と西にある。
先ずは駅に近い南側の寺門から境内へと入る。
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  正面に本堂がある。
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 本堂には本尊の聖観世音菩薩が祀られている。
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 あびこ観音の正式名称は、観音宗総本山「吾彦(あびこ)山大聖観音寺」である。
 古代、この地に住んでいた依網吾彦(よさみのあびこ)という豪族が、百済の聖明王から小さな観音像を贈られ、寺院を創建したのが始まりと云われる。
その後、聖徳太子がこの地に赴いた時、観音菩薩のお告げにより「吾彦山観音寺」を創建したと云われる。
また、聖武天皇の病気平癒のために僧行基が創建したとの説もある。
 本堂の裏手には、西国三十三ヵ所めぐりができると云う三十三観音も祀られている。
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 この寺には徳川家康に纏わる面白い逸話があることを御朱印を頂くときに聞いた。
それは、大坂夏の陣の時、真田信繁軍に追いかけられた家康はこの寺に駆け込み、須弥壇に隠れて助かったと云う話である。
真偽の程はともかくとして、その後江戸時代になってから徳川幕府の絶大な庇護を受け、江戸最盛期には、塔頭36を数える大寺院となったとのことからして、どうであろうか?
 明治になって寺院は火災で焼失したが、その後10年足らずで再建され、現在に至っている。
 寺院の正門は西門である。
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西門には参道も整備されていて、大寺院当時の面影を残している。