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 伊賀上野には珍しいものがある。
「牛乳うどん」である。
 上野の町は上野城の城下町であった。
現在もその風情が漂う。
その上野の町の中心地に「IZ湯」といううどん屋がある。
 JRの関西本線の伊賀上野駅で下車し、伊賀鉄道に乗り換えて10分足らずの上野市駅で降りると上野の街の中心部である。
北に上野城、南に城下町となる。
 少し南に歩くと、そのうどん屋に到着する。
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「北川牛乳うどん」という幟が立っている。

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 昼には少し早いが入ってみた。
中央にテーブル、窓際にカウンター、そして奥に小上がり座敷の、20人位で一杯になる配置である。先客が4名であった。
その料理作りに忙しいのか、なかなか接客してくれない。
慌てることは無いので、そのままメニューや、忍者の写真を見ながら待つことになった。

 やっと注文を聞きに来てくれた。
迷わずに「牛乳うどん」とした。
さて、どんなものが出て来るのか? 期待と不安で待つことになったのである。
 かなり待たされたが、やっと出てきた。
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牛乳一色のうどん鉢である。

 闇鍋ならぬ闇うどんである。
具は入っているのかどうなのか、良くは分からない。
表面を少し探ってみると、蒲鉾は確認できた。
その他は玉葱の千切り、細い青ネギまでは確認できた。
白い色ばかりであるので、良くは分からない。
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 兎にも角にも頂いてみよう。
 まずはスープを味わってみる。
牛乳味であるが、嫌な熱した牛乳の味ではない。
例えるなら、焦がしのないグラタンの味のようである。
牛乳の裏に和風出汁の仄かな味がする。
 うどん麺は太くも細くもない、関西風の柔らかい麺である。
トロリとした出汁に良く合う。
 しかし、主役は牛乳である。
牛乳を飲みながらうどんを食べているような感覚は否めない。
こういう料理もあるのだと認識しながら、最後まで頂いたのであった。
 上野は城や忍者屋敷が良く知られる。
近くなので少し覗いてみようと、城山へと歩いた。
 上野の城山は公園となっている。
入口から登って行くと、先ずは戦国時代に大和国から移封された筒井順慶の息子筒井定次が築城した城、いわゆる筒井城跡がある。
その遺構であるが、石垣、土塁や石仏などが残されている。
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 江戸時代になって大坂の陣の徳川方の拠点として筒井城が見直され、藤堂高虎が改修を開始した。
築城の名手高虎である。
何と云っても特徴は高さ30mの高石垣である。
堀も現存し、その長さは400m近くにも及んでいる。
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 しかし改修途中で陣も終り、その後伊勢国津城主なった高虎はこの上野に城代を置き、伊賀国を統治することになった。
大坂の陣以降、幕府は城の改修を禁止したので、城はそのままになっていた。
 そして昭和初期に、ご当地の議員氏の寄付によって建てられたのが現在の模擬天守である。
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 城域の外の上野公園には松尾芭蕉を偲ぶ俳聖殿がある。
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芭蕉の旅姿を模したもので、これは国の重要文化財である。
並んで伊賀流忍者屋敷がある。

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