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 かつての播州国、現在の兵庫県の西部地域に「播州ラーメン」というご当地ラーメンがある。
 調べてみると、播州の中央辺りにある西脇市の大橋のそばのラーメン屋で提供されていたが、それが評判を呼びこの地方に広まったと云われている。
醤油ラーメンで、甘い味がするとの食後感コメントが幾つか見られる。
一度味わってみたいと思っていたが、その機会は無く、今日に至っていた。
 更に調べてみると、西脇まで行かずとも、播州にはそれを提供する店が沢山あった。
今回選んだのは加古郡播磨町に本店を置く「HK」の相生駅近くの支店である。
 相生駅で途中下車し、線路と併行する国道2号線沿いに東へと歩く。
2つのコンビニを通り過ぎると目的のラーメン店である。
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配送倉庫を改装したような風情で大きな店である。

 看板が派手なので、少し腰が引ける。
しかし、こういう処こそ美味いのであろと入ってみた。
カウンター、テーブル合わせて5~60席はありそうな広さである。
厨房との間は透明の衝立が埋め込まれ、中の作業も良く見える。

案内されてカウンターに着席した。
メニューを眺めると色んな種類のラーメンが載っている。
良くは分からないので、左上の隅の当店No.1と書かれている「とろみ こってり」ラーメンを注文したのであった。

 注文してからメニューをもう一度見てみると、ベースとなる醤油ラーメンがあったのは残念であるが、今更仕方がない。
と、悔やんでいる内にもうラーメンが出てきた。
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今まで訪れたラーメン屋では最速であることは間違いがない。

 生ニンニクがあったので器具で潰し振り掛けた。
良く見ると背油が一杯である。大きな塊も浮いている。
今までに見たラーメンで、この背油の量も最多である。
 さて、頂いてみよう。
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 気になるのは麺であるが、ストレートの細麺、これは好きな麺なので安心である。
次はスープ、醤油味であるが、甘さもある。
スイーツに見られる砂糖の甘さでは無く、奥深い甘味である。
何がその甘さの起源なのか、良くは分からないが、恐らくはスープを煮込むときに入れる玉葱などの野菜からのものであろうか?
 スライスされたチャーシューは柔らかくて美味い。
モヤシも麺に似たくらいの細めのもので、違和感がない。
大量の背油と格闘しながら、最後まで頂いたのであった。
 播州ラーメンの甘さを実感して満足し、ラーメン屋「HK」を退出したのであった。
戦国時代の頃まで、相生湾はこの相生駅の辺りまで切れ込んでいた。
そして、現在の線路の北側あたりから陸(りく)であったと云われる。
それを示すように、この辺りは「陸(くが)」地区と云い、少し北に「陸公民館」が建っている。
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 そして「陸天満宮」という神社が鎮座していた。
現在も菅原町と云う町名が残っているが、その場所である。
道真公が大宰府に左遷され向う船旅の途中、この相生湾通過中に嵐に遭った。
嵐を避けるために陸の岩山の辺りに上陸し、難を避けたのであった。
 その後しばらくして道真公の死去を知った里人たちは、道真公が休んだ場所に祠を建てたのが陸天満宮の始まりである。
 しかし残念ながら天満宮は、新幹線の駅や線路敷設のために遷座されている。
神様の遷座であるからそれに適した地を選ばなければならない。
 その結果、ずっと西の住宅地が切れ、高速道路が通っている山麓まで遷座されている。
20~30分あれば行けそうなので、その天満宮を参拝してみることにした。
 住宅地は一定の登りのなだらかな坂である。
そろそろ嫌気がさしてきたころ、やっと高速道路が見え出し、参道入り口の鳥居に到着した。
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 そこからは階段を登り、陸橋で高速道路を渡り、境内に到着した。
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 お参りを済ませ、そろそろ時間一杯となった。
急ぎ駅に戻った途中下車であった。