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大阪北部の豊中市に「千里中央」という駅がある。
省略して言うことが好きな大阪人の間では「千中(せんちゅう)」で通じるところである。
千里中央駅は大阪地下鉄が乗り入れる北大阪急行線と大阪モノレール線との乗換駅でもある。
千里中央駅は大阪地下鉄が乗り入れる北大阪急行線と大阪モノレール線との乗換駅でもある。
今回、用向きがあって千里中央からモノレールに乗り換えることになった。
先方訪問までには時間の余裕があるので、昼食と近くを探訪してみることにした。
地下鉄・北大阪急行の駅を出たところはまだ地下1階であるが、ホームからの吹き抜け状になっていて、周囲の通路には飲食店が並んでいる。
一通り見回すと行列の店があるのが見つかった。
人気店なのであろうか? 近寄ってみた。
店の名は「NA」で喫茶店である。
行列の最後の人に聞いて見た。
「何があるんですか?」
「ここはね、サンドイッチが美味しいんですよ。特に肉厚のカツサンドがね…」
「そうですか。並んでみます」
と暫く待つことにした。
順番に案内されて行く。
10分も待った頃、カウンターに案内された。
喫茶店に入るのは久しぶりである。
タバコも吸えるようで、すこし臭いがする。
メニューを見るとカツサンドには、野菜入りと無しがある。
カツの味を味わいたいので、野菜は邪魔となる。
カツサンドB(野菜無し)を注文した。
カウンターの中は狭い。
その中で、3人の料理人の分業がスムーズである。
サンドイッチ用に大きな鉄板で食パンの裏表を焼いている。
焼き上がった頃とカツが揚がる時間がジャストである。
焼き上がったパンにマスタードであろうか一塗りし、揚げたてのカツを隙間の無いように並べ、ソースを掛け、包丁で手際よく食べ易い大きさに切っている。
そして皿に乗せて出来上がりである。
その3サイクル目ぐらいに「お待たせしました」と前に出されたのであった。
カツはヒレかつで色はピンクで、ビックリするほど厚い。
これは期待ができると、早速頂くことにした。
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パンもカツも温かいというか熱い位である。
そして肉の柔らかさにも再び驚いたのであった。
サクサク食べることができる。
昼飯には少し量が少ないかなと思ったが、完食すると、程よい状態となったのであった。
これなら人気が出るのは良くわかる。
この店、40年以上も続いていて、テイクアウトもできることから、更に人気となっているとのことである。
さて、千中の探索である。
新しい街なので歴史的なものは皆無であろうと、とりあえず地上に出てみた。
少し歩いて見ると「千里の天神さん」の看板があった。
千里に天神さん? 何だろうと思って矢印の方向に行って見ることにした。
先ずは中国自動車道の陸橋を渡る。
新しい建物の間を更に進む。
道を曲がって更にマンションのや公園に沿って進むと駐車場の向こうの林に上新田天神社の看板が挙げられている。
神紋は梅、菅原道真公を祀る天神社である。
少し行くと天神社の参道階段の入口の鳥居に至る。
一礼し、参道を登り、拝殿に辿りついたのであった。
お参りを済ませ、社務所があったので行って見る。
幸いにも宮司の方がいらっしゃったので、ご朱印を頂き、少し話を聞いて見た。
上新田村は、大坂の陣翌年に武蔵国代官間宮三郎右衛門の命により開拓され、幕府の直轄領となり、その後京都所司代が領有し、更に淀藩の領するところとなったと云われる。
そのころこの天神さんが建築され、現在に至っているとのことであった。
それ故、本殿は鎮座当時の建築物であり、豊中市の有形文化財に指定されている。
また、1月14日に挙行されるとんど祭も豊中市の無形民俗文化財に指定されているとのことである。
しかしこの神社の周囲は極限まで開発されている。
本殿の裏側の高層のマンションは拝殿前から良く見える。
また神社前は、現在はブルトーザ―など建設機材が入っている。
そのうちにマンションに囲まれた神社になってしまうのではなかろうか? という危惧を感じさせる探索であった。