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 兵庫県の西宮に出かけたついでに、酒造りで有名な西宮の宮水の取水地を見てみることにした。
 宮水の取水地は阪神西宮駅の東南部、阪神高速道路を潜った辺りにある。
 一番福で有名な西宮戎神社の東方向になる。
 阪神高速の下にある石在町の交差点から道に沿って南に下がって行くと、道の両側に酒銘の看板と、宮水井戸の看板が見えてくる。
 その看板がある広場には、取水用の井戸を守るのであろう? 井戸館も酒蔵ごとに建てられている。
 勿論どの井戸も立ち入り禁止である。
 菊正宗、泉正宗や都美人などの共同井戸、日本盛、大関、白鷹、通りを挟んで櫻正宗、白鹿、横に入って、沢の鶴、金鹿などで見事なものである。
 井戸群の外れに、「宮水発祥之地」の石碑も建てられている。
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 宮水は六甲山系の水が地下に浸透して伏流となり花崗岩の層を流れ、そしてこの地域の地下に埋もれている貝殻層の影響でカルシウムや、リンを含むと同時に海水の浸透によって、ナトリウムやマグネシウムも含まれる、
 酒造りには最適の水となっているのである。
 かつてこの宮水の湧き出る地域は、広範囲であったが、相次ぐ天災などによって、現在ではこの付近だけに限られるようである。
 この宮水を用いた酒造の起源は古く、天保年間西宮の雀部(ささべ)市右衛門、神戸魚崎郷山邑太左衛門が時を同じくして、宮水が清酒醸造に最適水であることを発見し以後、酒は宮水により発展したのであった。
 宮水の井戸を後にして、西側の広い通り「札場筋」に出ると、少し南に綺麗な商家風の町屋が見える。
 近づいてみると、酒蔵白鷹の経営のレストラン・ショップ・博物館の白鷹禄水苑「竹葉亭」である。
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 この館どのようなものか、入ってみた。
 入った所はショップである。
 酒以外にも色んなものが並べられている。
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 後ほど見てみることにし、ずっと奥へ進む。
 酒蔵博物館がある。
 木製の樽や用具が所狭しと並べられている。
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 当時は全て人力であったので、テコの原理を使い少しでも楽になるように配慮された道具も見られる。
 博物館を見学して、入口のショップに戻る。
 酒饅頭でもとお土産にと探してみるが、無い。
 その代わりに「戎金鍔(えびすきんつば)」と云うのが並べられていた。
 餡の販売を主力とする「TY製餡」の商品である。
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 えべっさんのお土産にと販売していたものであるが、今では常時売れているそうである。
 金鍔の歴史は古く、江戸時代から始まった菓子である。
 当時は丸形で、刀の鍔に似ていたことから「銀鍔」と呼ばれていた。
 聞いてみると、この戎金鍔の餡は、甘さ控えめの粒餡で、炊いた餡を固めて、1日中寝かして、カットして、そして小麦粉を付けて周りを焼いて行くと云う単純なものである。
 買って帰って早速頂いてみた。
 甘くはなく、餡と云うよりは小豆を固めたような金鍔で、美味しく頂いたのであった。
 尚、この酒元の白鷹であるが、白鹿の醸造元である辰馬本家より分家し、西宮にあった雀部(ささべ)家の酒蔵「鱗蔵」を買い取り酒造を開始した。
 そして鱗印と銘うって江戸への積み出しを開始し、評価を得て今日に至っているそうである。
 一流の酒を標榜していることもあって、この銘柄は中々お目にかかることができない。
 白鷹の初代は他家から養子に来て、本家から分家して酒元白鷹を始めたのであるが、その子は、今度は本家の養子となり白鹿を継いだと云うことである。
 何か複雑な経過を辿っている。
 白鷹ショップに何故に戎金鍔が置かれているのか?
 これも不思議に思うが、この金鍔の御主人も辰馬氏であるので、何らかの関係があろうと思われるが、深く詮索はしない。
 美味しければそれでいいのである。