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 今回は贅沢?途中下車である。
山陰に用向きがあった。
この季節であるからカニを求めてみようと、米子駅から境港駅までローカル線の電車に乗った。
 境港(さかいみなと)市はご当地出身の漫画家・水木しげるの「ゲゲゲの鬼太郎」の町である。
電車からして、キャラクター電車の「猫娘」電車だった。
外観だけかと思いきや、座席も天井も猫娘だらけ…。
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境線の各駅にも全てゲゲゲのキャラクターの愛称が付いている。
例えば、「弓ヶ浜」駅=「あずきあらい」駅と云う風に…。
おまけに電車内のアナウンスも鬼太郎の声である。
全て徹底している。
 終点「境港」駅=「鬼太郎」駅で下車した。
駅も鬼太郎一家、一色である。
おまけに、こなきじじいのお出迎え。
何だか恥ずかしいような…。
 境港には今まで車で何度も来ているが、電車で来たのは初めてである。
市内を動くにはどうしたら良いか全くわからない。
おまけに目的のカニは何処で手に入るのかわからない。
観光案内所があったので聞いて見た。
「カニは何処で手に入りますか?」
「市場は三ヶ所あります」
と地図で説明してくれた。
その一つは、近いところみたいで、歩いて行けそうである。
「ここまでどれくらい時間が掛かりますか?」
「まあ、20分ぐらいですかね…。あっ、待ってくださいよ。ここ今日は休みじゃなかったかな?」
と後ろにあったカレンダーで確認してくれた。
「やっぱり、今日は休みです。ですから、こちらの二ヶ所ですね。バスがありますからそれに乗れば行けます」
と乗るべきバスの時刻表とともに、詳しく説明してくれたのであった。
 今流行の市役所が運営しているコミュニティーバスである。
早速、乗り場に行って、10分ほど待って、乗せて貰ったのであった。
何と料金はどこまで行っても100円。
これは嬉しい限りであった。
しかしその分、病院や市役所など、あちこち回る。
それは仕方のないことである。
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 バスに30分程乗って、降りた停留所は広い埋め立て地での中で、その突端付近に「夢みなとタワー」がある。
ここに魚市場がある。
車もあまり停まっていないが、バスで来る人などいない。
市場の中は、店員さんの方が遥かに多い。
順番に店を見ていくのであるが、市場内は見通しが良く、ズウッと店員さん達に追跡されているようで、嫌な感じがする。
久しぶりにタグ付の松葉ガニを見た。
どれも美味そうであるが、値段はそれなりに大変なものである。
「安いのもありますよ」
と、ロシア産であろうが、しかしこれでも近所のスーパーの値段の2倍ぐらいは付いている。
店を一巡し、
「まあ、こんなところか…」
と、一店で買い求めて、発泡スチロールのケースに氷とともに入れてもらい、手にぶら下げたのであった。
氷の量が多いのであろう、かなり重いものであった。
美味しさの重さと思い持って帰ろう…。
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 さて、この夢みなとタワーのある場所、今から10数年前に、「山陰夢みなと博覧会」が開催された場所である。
筆者の会社も出展に関係することになり、何度か通ったことがある。
大型の映像を上映したのであるが、開会一週間程度の後から、時々軽微なトラブルが発生した。
原因かどうかは分からないが、エアコンのフィルターを見たとき、土埃が想像を絶するような量で付着していた。
来館者の靴に付いた土が、会場内で撒き上げられたものであろう。
この土が映像機器にも悪影響を与えているのであろう。
早速その対策をし、後、ことなきを得たことを思い出した。
 この広い場所、企業誘致や公園として整備される計画であろうが、遅々として進んでいないようである。
昨今の経済情勢からして、やむを得ないとは思われるが…。
 帰りのバス停で、地元の人と思しきおばさんとしゃべった。
「市場のカニは高いでしょう? うちの近所のお店なら、安く買えるんですけどね…」
「観光客にはそういう情報は無いですから、わからないです。仕方ありません。それにしても、ここの土地は一杯残ってますね」
「なかなか、企業さんが来ないようですからね」
と、少し暗い話になってしまった。
 100円バスが来たので乗って、駅に向かったのであった。
そして、電車に乗って、「ねずみ男」に見送られ、境港駅を後にしたのであった。
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