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 このシリーズも100話目となった。
沢山の方にお目通しを頂き、大いに感謝申し上げる。
 このタイミングに上手い具合に年が切り替わり、年始となったので、それに関係するミニ旅である。
 年始の挨拶、初詣を兼ねてJRに乗った。
駅ナカや構内を歩いていると「年明けうどん」という幟や看板がうどん屋さんの前に立っているのが目に入る。
しかし、年明けうどんとは、今まで聞いたことが無かった。
 新大阪や岡山駅でもこの幟を見かけた。
 考えてみると年越しそばと云うのが昔からある。
それに対比して年明けうどんと云うのがあっても良いとは思われるが…。
うどん屋さんの組合あたりで画策しているんだろうと、ほくそ笑んだのであった。
 とにもかくにもこの年明けうどんを食べてみないといけない。
香川県が本拠で他県にもチェーン展開している「SMG」という店に入った。
年明けうどんという特別メニューがテーブルの上に置かれている。
4、5種類のうどんがある。
年明けうどんのルールは紅いものをトッピングすることであるとメニューには書かれていた。
紅いものと云えば、その店では人参と蒲鉾の鳴門巻であった。
野菜主体のしっぽくうどんを選んで、暫く待った。
 5分程度待ったであろうか。
赤い色系統の新春らしいうどん鉢に入れられた年明けうどんが出てきた。
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 見た感じ、鶏と野菜を煮たものの中に温玉が乗っているトッピングである。
キザミ青ネギも乗っている。
 先ず野菜を食べてみた。
しっかりと煮られていて、味もこなれている。
出汁、麺はどうかと云うと、それは普通のうどんであった。
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 少しずつ頂いていく。
普通のうどんは出汁が時間とともにぬるくなって行くのに、この出汁は余り冷めないような気がした。
ほぼ熱いままである。
何か特殊なものが出汁に含まれているのであろう。
年明けうどんだけではなく、他のうどんものこように冷めにくいのが、この店の特徴なんだろうか?
 フウフウしながら最後まで美味しく頂いたのであった。
 調べてみた。
年明けうどんは2009年からキャンペーンが始められたそうである。
仕掛け人はうどん県として知られる香川のうどん関係の業界「さぬきうどん振興協議会」である。
「うどん県」と同じように「年明けうどん」も登録商標となっている。
そして全国展開を目指しているとのことである。
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 元々年明けうどんとは、うどん麺の中に紅いうどんを混ぜて食べるようなものが売られていて、それを家庭で湯がいて食し、新年を祝うものである。
それとは別に今回の「年明けうどん」は、各うどん店が独自にうどんのトッピングを考案し、販売するような決まりのものである。
 一方、年越しそばは、江戸時代から培われて来ていて現在では当たり前の習慣である。
その由来、一説には蕎麦は細く長いことから、長寿・長生きを願ったものと云われる。
引っ越しそばも同じであるが、これからも末永くよろしくと云う意味であろう。
 また、当時の金銀の細工師が金箔を延ばすためにそば粉を用いたとか、金粉銀粉を集めるためにそば粉で作った団子を用いたとか、お金が集まるとかお金に関わるのが蕎麦との説もある。
 年越しそばは蕎麦屋さんやその業界にとっては、それこそ”おいしい習慣”となって来て今や全盛である。
 果たして「年明けうどん」、そのようになって行くのであろうか?
大いに興味のあるところである。