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6月も半ばに差し掛かった。
梅雨入りにもなって、鬱陶しい日々が続く・・。
今年の梅雨は、暑かったり、雨降って涼しかったり、定まらない日が続くと
予想されている。
梅雨の時期の外回りは営業マン泣かせである。
それでもそれを気にしていると、ことは進まない。
S社営業課の面々、建物の中で一日過ごせる内勤の人たちがうらやましいと
思うのは、まさにこの時である。
梅雨の憂さ晴らしでは無いが、週初めにも関わらず例の居酒屋へ集合したので
あった。
「暑かったり、冷えたり、毎日大変だな・・。
しかしこの仕事はこれで給料稼いでいるんだから・・。
頑張ってやって行こう・・。」
「課長、そうですね・・。
こういう時こそ、気合入れていきましょう。
乾杯しましょうよ・・。」
「そうだな、まだ彼、来ないけど、
先に始めるか・・。
乾杯~!!」
「カンパ~ィ。」「かんぱ~ィ。」
今日も賑やかに始まったのであった。
「ところで、消費税、いよいよ10%が決まる方向になったな・・。」
「野田さんの不退転の決意が、真実味を帯びてきましたね。」
「無から有を生み出すか・・。」
「えっ・・。なんですって・・?」
「働かなくても金は入る。投資しなくても儲けは入る。
消費税は全くのただ取りだ・・。
口は悪いが、政府に払うショバ代は5%ぐらいが相場・・。
いいとこ5%が限度だよ・・。
それを10%にするなんて、無茶なことを考える連中だ。
金は簡単に手に入ると思っている・・。
悪政中の悪政だ。」
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「課長、今日はいやにいきり立ってますね。
何か面白くないことが・・?」
「何もないよ・・。
それより、我々企業から見ればな・・。
お客さんから、さらに5%余計に貰わないといけない。
5%の値上げと一緒だ。
しかし客はコストでの吸収を必ず言ってくる。
更に、苦しくなるんだな・・。
頭をもっともっと下げないといけないからな・・。」
「そうなんですよね・・。
最後に消費税を合算すると、その分、支払額が増えますからね・・。
価格交渉がやり直しになることも、ままあります。」
「どちらにしても、口先だけの奴らに金はやりたくはないなァ。
金持ちから取ればいいんだ。
保有資産で消費税額を決めるとか・・?
所得額で変えるとか・・?
方法はあるだろう・・?
消費税は公平の形をした不公平だ。」
と息巻いているところに、Y主任がやってきた。
「いやに盛り上がってますね。
外まで聞こえてきますよ・・。
どうも消費税10%が現実味を帯びて来たようですね・・。
国家経済をますます沈下させるんですね・・。」
「Y主任もそう思うか?
最近は内向きの話ばかりだ。」
「選挙目当てでしょう・・。
国民におもねる国会議員達・・。もう見てられないですね・・。
そもそもですね・・。
国が富んで、国民全体も豊かになって、それで税もしっかり払ってもらう
と云うのが原則、大前提なんですが・・。
国の経済は低迷・・、国民の所得も減少・・、しかし税を上げる・・。
めちゃくちゃです。
3
政治や法律は経済の上部構想であって、経済に立脚していることを、もう
完全に忘れてしまっているんですね。
今こそ経済の活性化に全力投球が必須なのに・・。
今やっていることは、
蛸が自分の足を食って、痩せ細っていくのと同じことです。
食糧は外から手に入れなければ、いけないんですがね・・。」
「なぜ、こんなことになってしまったんだ?」
「それは・・・、
私にもよくはわかりませんが・・。
経済であれば海外との交渉ごとになります・・。
しかし海外に向かってものを云ってもうまくいかない。
失敗事例ばかりが積み上がるから、それこそ政治生命に係る。
政治家の自分かわいらしさだけですね・・。
そんなところでは無いですか・・?」
「だから、国内しかやらないか・・?
外務大臣って誰だったっけ・・?
印象無いよな・・。
真紀子さんなら印象あるけど・・。」
「大過去の自民の時代からの政治の失敗が、国を大赤字にさせてしまったん
だろう・・?
先ずその反省をしてからだ。反省するのが嫌いな連中なんだから・・。
それだのに、また国民に平気でおねだりする・・。
政治家って、まるで子供みたいなもんだな。」
「過去のことは他人事で、どこ吹く風・・。平気な顔をしていますね・・。
気楽な稼業ですね・・。」
「でなきゃ、政治家なんて、できないんだろう。」
「もうそろそろ、民主党も野田内閣も潮時ですね・・。
無理過ぎる・・。
消費税10%で、食い逃げが限度ですかね・・。」
今日もあることないことをあれこれ並べ、
盛り上がってゆくのであった・・。