大型連休で騒いでる企業もあるが、S社営業課は営業部門であるが故に、
全員が長期に休むことは、お客様が動いている以上許されない。
前半・後半と二手に分かれて休むことにしている。

その連休の前日、いつものように「お疲れさん」で例の居酒屋に集合する
ことになった。
全員、9連休とは行かないが、それぞれ4日や5日の休みは取れる。
休みの前の、あのほっとした楽しげな顔で、仕事が終わった者から、
駆けつけて来たのであった。

「皆、お疲れさん・・。
暫く休みになるが、出かける人は気をつけて行ってくれ・・。
但し、自分の出勤日は間違えるなよ・。ご苦労だけど、抜かりなくな・・。
じゃあ、乾杯だ・・。」
「カンパ~イ」「かんぱ~い」「・・・」

「Y主任は明日から休みだな・・。何処かへ出かけるんか・・・?」
「久しぶりに、ちょっとドライブでもって、思ってるんですけど・・。」
「ほおう・・。何処へ行くんだね?」

「高速で何処まで行けるかなんですけど・・。
とりあえず、東北に行って見ようかなんて、
思ってるんですけど・・。」

「丁度、桜が満開なんじゃないかな?
山も綺麗だしね・・。 まだ雪が残ってるかな?」
「上の方はね・・。麓の温泉くらいが関の山かなって・・。」
「まあ、楽しみだね・・。家族孝行ができるね・・。」

「ところで今は、ガソリンも高いし、高速も割引が少ないし、
出費だね・・。」
「それを言われるとね・・。
年に何回も出かけるわけではないですから・・。
少しの贅沢をしようか、なんて話してるんですけどね・・。」

「まあ、そんなに行けないからね・・。
出張とは違うから、のんびりとね・・。
気をつけてな・・・。」

「はい、有難うございます・・。
後半出勤で頑張りますよ・・。」

「高速道路だけど・・。
あれは、償還が何十年かで終わって、タダにする約束ではなかったんか?」
「確かにそうなってましたね・・。
田中角栄さんかな・・? 議員立法だったんです。

日本の有料道路というのは、建設費の採算が取れるか、又は償還期限が来るか、
どちらか早い方で無料になると云うのを餌に、高速道路に税金をつぎ込むこと
を決めたんですが・・。
実際に無料になった有料道路もそれなりにありますけどね・・。

しかし、かつての日本道路公団管理の高速道路は、償還期限が来ているのに、
相変わらず有料ですよね・・。」

「確かそうだったな・・。
年月が経てば無料になるという話だったな・・。
それが、無料どころか高くなったりしている。
どういうこと?なんだね・・。」

「ある程度は理解できますけどね・・。
高速道路網を全国に広く普及させようということがありますからね・・。
新しい道路の建設が、既存の高速道路の通行料金でまかなうという事が
認められているんです。 プール制というんですか・・。
だから東名や名神は黒字なんですが、全体では赤字になってしまって、
無料にはできないんですね・・・。」

「将来無料にすると云いながら、税金使って道路を作っておいて、
無料にしないんだから、詐欺みたいなもんだな・・。」
「しかし、不便な地方に高速を走らすんだから、それはそれで国全体で格差を
なくすことに効果有りですけどね・・。」
「しかし、利用車が極めて少ない高速道路も多数ありだがね・・。
そんなところに作って赤字ですは、頂けないね・・。」

「事前調査の時に通行車両の見込みをかなり水増しした結果なんですね・・。
通行の少ないところには作りませんからね・・。
儲かるという調査結果で作りますからね・・。」
「これも誤魔化しか・・?」
いったい、道路行政ってまじめにやってるんだかね・・?」

「いやいや、道路公団を民営化して高速道路の管理会社を作りましたね・・。
小泉改革です。これが曲者なんです・。
建設費は税金負担、通行料の上がりは会社のもの・・。修繕費は会社が負担
するんですがね・・。
知れてます・・。だから、楽勝ですね・・。」

「そりゃ、そうだろう・・。
天下り先としては最高だな・・。何の苦労をしなくても良い・・。
国や国民を食い物にして、平気な連中が平気な顔してやってるんだな・・。」

「そうなんですよ。
だから経営の効率化なんてどこ吹く風なんですね・・。
東日本会社は、役員が12人から23人にここ一年間でほぼ倍増しています。
何をかいわんやです・・。」

「そうだな・・。
国を食い物にする連中がのさばるか・・。
真面目にやってるのが、馬鹿馬鹿しくなるな・・。」

「役人連中も、先輩諸氏にはあまり強くは言えないしね・・。
政府も弱腰だから・・。
日本もますます危ういな・・。」