第1節  はじまり

パソコンの

向こうの君に  デート問う

返事待ちつつ  クリックしきり

 

夜も更けて

届きしメール 「おやすみ」と

件のことに  触れで虚しき

 

夏色の

灰変したる  束の間に

雨音激し  寂しさ誘う

 

人ごみに

待ちたる君の 姿見ゆ

そのかんばせは 笑みを絶やさず

 

おずおずと

手のひら上に 待ちたりし

君の温もり 今か今かと

 

街あかり

小上がり座敷 向かい合う

言葉惑いて 活け花愛でる

 

      第2節 楽しき日々

カーナビも

熱き二人に 惑わされ

狭道めぐる 路地の旅

 

あちこちと

旧跡・古刹  訪ね旅

古人の姿  岩陰に見ゆ

 

束の間か

時が過ぎ行く ミニ旅行

君を送りて  駅へと急ぐ

 

城桜

花の下にて  語り合う

君の夢先  見えて隠れて

 

海の青

その海原に 愛を見ゆ

ハッと気づきて 君の顔見る

 

いとしさが

あまりあまりて 抱きしめる

腕の中より 瞼、微笑み

 

   第3節 二人の世界

日は落ちて

宿へと辿る 二人旅

今宵の宴に  顔を赤らめ

 

ほのかなり

夜桜眺む 君の顔

そのいとしさに しかと抱き寄せ

 

旅宿の

心尽くしの  鍋料理

も少し少しと  杯重ね

 

気がつけば

朝の光と 鳥の声

手のひら重ね しばしまどろむ

 

あわただし

朝の装い 鏡台に

スッと紅引く 君を眺めつ

 

今日こそは

酒を控えて  夜を過ごす

美味き酒肴に  誓い危うし

 

     第4節 愛

白き砂

浜辺で遊ぶ  初夏の日に

波を数えて  子供に還り

 

松並木

並木の先に  神社見ゆ

願うことあり  手を合わせたる

 

子らも去り

静かな海辺に  鳶が舞う

一日の終わりか  夕日を誘う

 

ふるさとの

話はずみて  時忘れ

二つ三っつと  漁火の見ゆ

 

あかあかと

水面に一条  茜色

重ねた顔に  夕日戸惑ひ

 

抱きしめて

くちびる重ね  いつまでも

もう離さない  愛の始発と

 

     終節 夏日

夏花火

ゆかたの君と   膝揃え

輝く顔を   見合わせしきり

 

花火ごと

沖の島影   薄明かり

遊びし渚   想いに浸る

 

夏の宵

月の明かりか   まわり道

疲れたその身   預かり歩む

 

夏の朝

腕の寝皺を   いたわりつ

君の寝顔を   しばし眺める

 

蝉時雨

新しき日を   嬉しがり

競い競いて  命、謳歌す

 

夏木立

朝陽木漏れる  遊歩道

君と手を取り  誓い新たに・・・