「ほ」の駅はJR法隆寺駅を選んだ。
法隆寺は小学校の遠足を始め何度も来ているが、電車で来ることは無かった。
この機会にJR関西本線法隆寺駅で下車して法隆寺界隈を訪れてみることにした。

駅を下車、改札口の横にある観光案内所で聞いてみる。
「法隆寺は歩くとどれくらいかかりますか?」
「バスが出てますよ。門前まで行ってくれるので、無理に歩かなくても…。今なら後5分ぐらいでバスが出ます」
真夏の暑い時に歩くのも何なので、早速バス停に向かったのであった。

10分ぐらいであろうか? 「法隆寺門前(もんまえ)」のバス停に到着した。
やはり世界遺産の観光地である。
人はそこそこいる。
境内に入り、回廊の外から伽藍を眺めた。
さてこの五重塔である。
綺麗に眺めることができる場所が無いものかと思い周辺をぶらついてみた。

西北の小高いところに西円堂という御堂がある。
ここならばと見えるのでは?と行ってみた。
確かに塔の全体は見える。
しかし木々が邪魔をしている。
夏の木々が生い茂っておるシーズンではこれが限度なのであろう。
半分の満足である。

さて、いつもなら東の中宮寺、法起寺方向へ向かうのであるが、今回は西へ行って見よう。
西門を出たところは法隆寺西一丁目という地名で、その路地を歩いてみる。
崩れかけたような趣のある土塀がある。

かつて学生時代に混声合唱で歌った歌を思い出した。
『大和平野の只中 斑鳩の里 まぐさ色の土塀が
傾きながら続いている 小路の外れに…
法隆寺の七堂伽藍が聳えている 聳えている』(平木二六作詞)

正にこの風景であった。

更に進むと広い場所に出る。

円墳「藤ノ木古墳」がある。
ガラスの扉から覗くことができる。
石室の一部であろうか? 見ることができたのであった。

 

 

古墳から法隆寺の門前にカラー舗装された道を戻る。
日陰は無いので、かなり暑いがやむを得ない。

門前に到着した。
ここにも以前から気になっていた「茶がゆ」という幟や看板が立っている。
丁度昼時であったので、涼みがてら店に入って茶がゆにしてみよう。

旧町屋風でランプ看板の「SK堂」という店に入った。
店内は半分ぐらいの客である。

おしぼりとお冷やを出してくれた店員嬢に早速茶がゆを注文した。
「餅入りにしますか?」
「いや、普通の茶がゆでお願いします」

暫く待った。
出てきたのは、大きなお椀にお茶を満たした「茶がゆ」と「梅干しと漬物と昆布」それに「切り干し大根と千切り人参の煮物」である。
簡素な料理である。

茶がゆの米飯粒は沈んでいるが、水面には「あられ」とこげ茶色の半球状の粉の塊りが浮かべられている。
聞いて見ると大麦の粉、いわゆる「はったい粉」である。
「良くかき混ぜて下さいね」
と云われて、かき回しながら頂いたのであった。

お茶の味はするが、いわゆるお茶漬けとは違う。
出汁の効いた微妙な味である。
これが大和の茶がゆか…。
と納得したのであったが、観光地のこと、少々お高いのが少し不満でもある。

店員嬢にバスの便を聞いて見た。
観光地の割には各所へ行く便があまりない。

結局、元来た法隆寺駅にバスで戻り、探索は終了となったのである。

〔ほノ駅 完〕